お仕え 12 ページ21
しかし、マレウスが立ち上がれる事にかかる時間は少なかった。
あんなに苦労していた筈なのに
どうしてだろうか。
それは
その日の午後に起きた小さな出来事が原因だった。
Aは一人で森の中を散歩していた。
雨が止んだばかりの空気には
土壌と草木から発する芳しい香りが取り巻いている
程よい湿りのお陰で切株や朽ちた木から
小さな菌類が鮮やかな頭を出し始めた
水の重みが耐えられずに葉脈を沿って
ポタ、ポタと
滴り落ちる雫は岩に当たれば割れた水晶の破片のように飛び散り
地上に落ちれば音も立てずに静かに土の中へと染み込んでいく。
足元には
雨水でふやけた落ち葉がつみ重なって
踏めば靴の中に泥水が染み込んでくるが
少女はそれを気にしなかった。
薄暗い曇った空は
何か憂鬱を感じさせるものだった。
『何か珍しい薬草とかないかなぁ
あれば飴が作れそうなのに』
ふうと息を吐くA
ポケットの中には三粒くらいしか残っていない飴玉は彼女が歩く度に互いにぶつかり
ココンと音を鳴らす
多くの人は薬草を見つけては取って
高価で売り、
その事を繰り返して生計を立てていた
しかし多くの薬草は濫獲により姿を消してしまい
貧困な百姓は病気を患う時には薬を買う金額も出せなくて命を落とす人が増えてきている。
しかし
Aは違った。
彼女は
金を一度も重要なものだと認識した事はない
薬草が
どれだけの価値があるのかも気にした事がない
それを使って作った飴を
自分の気に入っている人や
助けが必要な人に渡しているだけだ。
自分はどうしてそんな事をしようとしているのかも分からないが
彼女がする事は
多くの生命をあの世に行く寸前から引きずり返し、その周囲には幸せと笑い声を花咲かせるばかりだ。
茂や木の空洞を覗いて何か求めているものが生えているのか探していると
遠くない所から呻き声が聞こえた
少女の尖った耳はピクリと動き、
捜索を止めて声の発する方向へ向かうと
大きなお腹を膨らませた若い娘が苦しそうに
脂汗をかきながら木の根元に座っていた
側には蔦で編んだ籠が倒れからは取れたて木の実がいくつか転がり出て
彼女の下半身から地面にかけては赤黒い血が染まっていたのに気付いたAは何が起こるのか勘づいた。
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リン - リリアちゃんカワイイ❤️続きが楽しみです (2022年11月24日 22時) (
レス) id: c3aa6be969 (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - はちゃめちゃドタイプ過ぎて……五回ぐらい見てしまった😅続きがめっちゃ気になるｯ!!!楽しみにしてます!!! (2022年9月20日 0時) (レス) id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
敦 - え？好きです！続きが楽しみです！！頑張ってください！ (2021年7月27日 22時) (レス) id: b6ccf69655 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - リリアちゃんとの絡み大好きです！ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - 続きが楽しみです。気長に待ってます (2021年6月11日 21時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝巻き | 作成日時：2021年3月5日 19時
