お仕え 11 ページ20
ある日のこと
小さなマレウスはプルプルと震える手で地面を押し上げていた。
透き通る肌から汗が伝って
その真剣な瞳で己の手元を見ている
「んん──！」
『が、頑張って····』
「あとちょっとじゃ」
そのすぐ横でAとリリアはしゃがんで彼を見ている
マレウスはゆっくりと片足を地に踏みしめてもう片方の足も同じように踏もうとしたが、
力不足か重心が違ったのか膝から崩れて再び座り込んでしまったのである。
「うっ······ふぇえん」
緑色の瞳からは大粒な涙がこぼれ落ちて幾度の失敗で耐えられなくなって泣いてしまった王子であった。
この頃茨の谷で、
悪天候になった時は皆マレウスが機嫌を損ねた時だと言うことを知っていた。
「又かねぇ、
泣いておられるのかね。」
「そうだろうよ、でも元気な雷だ。
体調は良さそうだな。
あっ、やば、
洗濯物がまだ外に····」
─────────────
彼が何をしているのか、分かっただろうか
そう、自ら立とうとしているのだ。
事の発端はAが"仕事"から帰って来たときにベッドにはマレウスの姿が見えなく、
窓部のカーテンがもぞもぞと揺れていたのを見て側に寄ると
小さな王子がカーテンの裏側の布地を掴んで立っていたのが始まりだった。
掴まり立ち出来る事を知ったAは喜び、
彼に高い高いをしてから、
王と王妃に告げた後、
城の外へ駆け出した。
そして
「良いか、
わしが先程の教えた剣術をもう一度見せる。
確りと見ておれ───『リリアちゃん！来て！』
鞘から剣を出したものの急に乱入してきたAは
まだ兵士たちの鍛練を指導している最中のリリアを壇上から引っ張り下ろして、
マレウスの勇姿を見せに行ったのだった。
────何日か経ち、
そしてここまでに至る。
『あと少しなのになぁ』
「うむ」
二人はまだ涙目のマレウスの頭を撫でながら
どうすれば上手くいくのかを考えたが
特に良策は思い浮かべられなかった。
『マレウス、焦るのは良くないよ？』
「······ぐすっ」
鼻を啜りながら
彼は無言で両腕を広げてAに抱っこを要求する。
「わしの抱っこはいらないのか？」
「うー····」
小さなマレウスは頭をふるふると左右に振るのであった。
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リン - リリアちゃんカワイイ❤️続きが楽しみです (2022年11月24日 22時) (
レス) id: c3aa6be969 (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - はちゃめちゃドタイプ過ぎて……五回ぐらい見てしまった😅続きがめっちゃ気になるｯ!!!楽しみにしてます!!! (2022年9月20日 0時) (レス) id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
敦 - え？好きです！続きが楽しみです！！頑張ってください！ (2021年7月27日 22時) (レス) id: b6ccf69655 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - リリアちゃんとの絡み大好きです！ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - 続きが楽しみです。気長に待ってます (2021年6月11日 21時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝巻き | 作成日時：2021年3月5日 19時
