お仕え ９ ページ18
結局の所、
今宵のマレウスは王と王妃と寝ることになり、
リリアとAは一晩だけ自由人になったのだ。
Aにも本来自分用の部屋が城の中にあり
そこで休息を取るのが一般的なのだ。
『ちっとも眠くないなぁ
マレウスも王妃様の所へ行っちゃった。
私、何して暇を潰そうかな』
リリアは水浴びをしに行き
召し使いたちも翌日の食事の支度や掃除などをしていて
騎士たちも夜の防衛に務めている。
誰も話相手がいない。
ここ暫く
この城、
いや、この谷から離れてはいけない気がする
というよりかは、
今は離れたくないと内心思っているからだ。
『喋れるようになって、
上手に魔法が使えるようになってから
他の所へ行こう、と。
今はその時まで見届けたいな』
蝋燭の入ったランプを手に提げながら
すっかり暗くなった城の中を散歩する少女。
いつの間にか
庭まで来ていて
彼女はそっと蝋燭の明かりを吹き消した。
カタン、とランプを入り口に置き、
月光の微弱の光だけ頼って庭園の中で最も太く、大きく聳え立つ大樹の前に立つ。
『あなたはずっと変わっていないのね。
久しぶり』
そっと幹に手をあてがうと
触れた場所からは見たことのない美しい花が咲く。
『私に会えて嬉しいって··？
えへへ、私もだよ』
何も声も出さない木に向かって楽しそうに喋るAは微かにその樹木からの感情を感じ取る事が出来る。
『暇だから
私とお話しない？』
根元に腰を下ろし、
胸の前に停めているボタンを外し
マントを木の枝に掛ける。
『長い時間、どこへ旅しに行ってたって？
うーん、確か───···』
どこ行っていたのかを聞かれて
Aはゆっくりと話していく。
夜の庭園で
一人の妖精が
長い長い物語を語っていた。
─────────────
少年は水浴びを済ませ
まだ水滴の滴る髪を尖った耳の後ろに掛ける
午前は厳しい稽古を指揮し
午後は王と王妃と共に国の動かす方針を助言する。
漸く休憩を取れる時間になったのだ。
彼は服を着て自分の寝室に戻ろうとしたが
眠る前にAを一目見ておきたかった故
踵を返して彼女を探しに行った。
長い捜索をして
終いに庭の木の下で眠っている彼女を見つけた少年は眉を下げて笑った。
その柔らかい頬に口をつけ
リリアは
Aを姫抱きにし
起こさないようにゆっくりと自室へと向った。
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リン - リリアちゃんカワイイ❤️続きが楽しみです (2022年11月24日 22時) (
レス) id: c3aa6be969 (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - はちゃめちゃドタイプ過ぎて……五回ぐらい見てしまった😅続きがめっちゃ気になるｯ!!!楽しみにしてます!!! (2022年9月20日 0時) (レス) id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
敦 - え？好きです！続きが楽しみです！！頑張ってください！ (2021年7月27日 22時) (レス) id: b6ccf69655 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - リリアちゃんとの絡み大好きです！ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - 続きが楽しみです。気長に待ってます (2021年6月11日 21時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝巻き | 作成日時：2021年3月5日 19時
