夢の中 ページ14
暗い暗い城の中
一人の少女は漫ろ歩いていました。
お月様の光が弱く、窓の隙から零れました。
『なんで、ここに私が？』
訳が分からなかったのです。
そして
己が夢の中に居るのに気付いていないのでした。
城の中は静寂で
少女の歩く足音だけが廊下に響いていました。
暫くすると
ぐにゃりと何か柔らかいものを踏んでしまいました。
『あれ、なんであなたが···？』
見下ろすと足元には城の召し使いの一人が横たわっていました。
『····!大丈夫なのっ？』
指を鼻元に近付けるとしっかりと呼吸は途絶えていなかったのです。
目を瞑っている召し使いは安らかな顔で
静かな寝息をたてていました。
ただ眠っていただけなのでした。
少女はその翡翠色の瞳を凝らして前の廊下の先を見ると
騎士たちもあちらこちらの片隅に座って寝ていたのです。
皆をどう揺すって起こそうとしても
誰も起きようとはしませんでした
『···リリア！リリアは居るの？！』
だけど
何の返事もないのです
城の中に居た頃にはどこで呼んでもすぐにAの元に姿を表した少年は
来ませんでした。
『···マレフィセント様··ッ』
どうしてか心の中で浮かんだのは自分の主の顔。
『どこに居るのですか··っ！』
切ない思いが沸き上がって来て
少女の胸は締め付けられるような痛みに
気付けば温かい涙が頬を伝っていました。
あの方は
もう
亡くなられておられる筈なのに
どうしてか
今、側に居る気配がするのです。
会えないのに、
会いたい
大切だった方。
かつて
長い眠りから目が覚めたAが
初めて耳にした信じられなかったことが
【長い剣に心臓を撃ち抜かれて
あの方が亡くなったこと。】
『····マレフィセント様···
会いたいよぉお、ぅう···っ』
届かない悲しい願い
あの人の面影を常に探している
可哀想な
可哀想な
妖精さん。
ふと、肩に誰かの手が置かれました。
そしてAの頭を優しく撫でました。
「···辛かったのだな。
その方の替わりに
····僕をも愛してくれないか。」
低い男性の声がAの耳元で囁き
少女の体を後ろから抱きしめました。
その口を彼女の首元に埋め、
軽くキスをしたのです。
───end of dream
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リン - リリアちゃんカワイイ❤️続きが楽しみです (2022年11月24日 22時) (
レス) id: c3aa6be969 (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - はちゃめちゃドタイプ過ぎて……五回ぐらい見てしまった😅続きがめっちゃ気になるｯ!!!楽しみにしてます!!! (2022年9月20日 0時) (レス) id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
敦 - え？好きです！続きが楽しみです！！頑張ってください！ (2021年7月27日 22時) (レス) id: b6ccf69655 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - リリアちゃんとの絡み大好きです！ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - 続きが楽しみです。気長に待ってます (2021年6月11日 21時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝巻き | 作成日時：2021年3月5日 19時
