幸せになるために (ページ4)

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二話ページ4

日のあたる、木の下にあるベンチ。
あそこは私のお気に入りの場所だ。
女子なら日焼けを気にして座りたがらないが、私にとってはどーでも良かった。
いつものようにふんぞり返って座る。
ここは、私の特等席だから少し偉そうにしたかった。いつもは出来ないから。
ふとグラウンドに目をやると、私と同い年くらいの男子がボールを持って遊んでいた。
あーいうタイプは嫌いだ。
いかにも、自分は幸せな暮らしをしていますと見せ付けているようだからだ。
そんなことを思いながら、自分の方に目を向ける。
足には無数の青いあざが出来ていた。
手には、キズもできている。
こんな自分、正直醜いと思う。

ﾄﾝｯ

つま先にボールが当たった。
嫌な予感がする。
私の予感は、見事に的中した。
さっきの男子がこちらに近寄ってくる。

「すみませーん。」

近くまで来るのが嫌だから、ボールを取って投げて返した。

「わっっとと…あ、ありがとうございます！」

そう言った笑顔が眩しいから、余計に腹が立つ。

「…………………」

彼は、さっきまで笑っていたが急に真顔になって私を見つめた。

『なんかようですか？』

「え……いや……、君、学校は？」

なんでそんなことを聞いてくるのだろうか。
あなたには関係のないことなのに。

『別に、行かなくても私の自由じゃん。』

「でも、学校は行ったほうがいいよ？」

何なんだこの人は。
なぜ赤の他人のあなたにそこまで言われなくてはならないのか。
こういう人は、もっと大嫌いだ。
自分の理論ばっか押し付けてくるやつ。

『あなたに、なんでそんな事言われないといけないんですか？』

「いや。えっと……」

それにこの人も…、ん？

『てか、あなたも行ってないじゃないですか。』

「まぁ、そーだけど。俺はその……行けないから。」

自分だって行ってないのにこのひとは、私に言ってきたのだろうか。
随分、度胸があるな。

『………そーですか。貴方の事情なんて知ったことは無いですが、これは私の問題ですので、他者からどうとか言われたくはありませんので。』

ささっと、どっかに行ってください。
と付け加え、ベンチに腰を下ろした。
だが彼はそこから動かなかった。