【学スト】文学少女と栞と恋と【太宰治】

十六話(MISSION'16) ページ40

敦side

『という訳で！今回の依頼内容紹介ー！ドンドンぱふぱふ！』


自身の発言に効果音を付けて盛り上げる目の前の先輩。

今までの僕なら正直関わりたくないタイプだ。

『本当は駄目だけど教えちゃうぞ☆･･･簡単に云うとだな、お化け退治だ』

「はいっ!?」

おどけていたのに、急に声のトーンが変わるものだから驚くのも仕方がないと思う。･･･声が裏返るのも、仕方がない。そうだ。仕方がないんだ。

『詳しくはその紙を見てくれ。私は同じ事を二回云うのは嫌いなんだ』

目の前に差し出された紙を見ると、今回の依頼内容が綺麗な字で纏められている。関心しながら読み進めると、少しばかり気になる点を見つけた。

「あの、この被害者の事なんですけど･･･階段を踏み外して骨折って、これ心霊現象関係なく無いですか？僕別に要らないですよね？」

昔から幽霊の類が見えるというのは事実だ。僕が役に立つというのなら勿論協力するが、これは普通に医者に見せた方が良いと思う。

『ふっふっふ。甘いな敦くん。先も見てみろ。君に見て欲しいのは、被害者が見た幽霊が本当に居るのか、だよ。旧校舎に居るらしい幽霊と、その被害者(仮)の幽霊の特徴が一致したかをね。』

成程。一致したのなら、少なくとも旧校舎に幽霊は居るという事になる。

被害者の目撃情報と云う欄を見て、暗記する。

(赤髪、高身長、砂色の外套)

｢分かりました。では旧校舎を見てきます｣

『了解！君にしか出来ないことだ。頑張れ。あ、気をつけろよ！』

｢はい。必ず手掛かりを見つけて来ます！｣

･･･君にしか出来ないこと、か。

緩む頬をパチンと叩き、喝を入れる。

｢･･･頑張ろう｣

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