十五話(MISSION'15) ページ39
「は?って・・・普通は信じて貰えない話ですよ!こんなの。相談したって・・・笑われるだけ・・・」
はは・・・と力なく笑う敦に、きょとんとしたまま夜乃が云った。
『敦くん。君、私達探偵部に普通の反応が出来るとでも?』
「は?」
今度は敦が驚く番だ。
「敦くん。私達探偵部が変人集団と呼ばれているのは知っているね?実は、その呼び名は間違っては居ないのだよ。それは、可笑しな性格をしていると云う意味での変人だろう。勿論、私達の性格が可笑しいのは認知済みだ。・・・でもね、敦くん。それ以前にそれぞれが、他には云えない何かを抱えている。」
「何かを・・・?」
首を傾げる敦に、「例えば私は、何時からこの学校に居るのか、とかね? 」と太宰がおどけてみせる。
「なんだ・・・」と溜息をつく敦に、「ふふ、私の場合は、だよ」と太宰が笑ってみせる。
「・・・これは自論だけど・・・本当の悩みや苦しみは、中々人には打ち明けられないものだ。誰にでも話せるなら、それは残念ながら本当の悩み事では無くなってしまう。厳しい言い方になってしまうが、相談ではなく不幸自慢だ。・・・だから私はね。」
太宰はそこまで言うと、ふっ、と一息ついてから、こう云った。
「笑顔と云う硬い鎧で、他人と云う鋭い刃から弱い自分を隠してしまう。・・・そんな人物を救うのが、探偵部での私の目標!」
太宰はちらりと夜乃を見てから、敦を見つめて「君のような・・・ね?」と微笑んだ
「太宰さん・・・」
「だから君自身の事を救う為にも、手伝って貰わなくちゃ♡」
「絶対それが目的ですよね!?僕の感動返してくださいよお・・・」
敦の緩い怒声など気にもせず、無理ー!と夜乃の周りをくるくる周回する太宰。
『さて敦くん。返事を、聞きたいのだが。』
「僕は・・・・・・・・・分かりました。協力します。」
『そうか!有難う。では早速で悪いが、部活が終わったら探偵部に来てくれないか?内容を詳しく伝えたい。』
はい!と返事をし、元気に走り去っていく敦を見つめる先輩二人。
彼の銀髪が見えなくなると、夜乃が体は動かさずに太宰に問う。
『・・・太宰くん。君は私の、何を知っている?』
「んふふ、私に隠し事は出来ないよ?夜乃♡」
その問いに対し、太宰は人差し指を口に当てると妖艶に笑い、夜乃に背を向け歩き出した。
「・・・私には、話して欲しかったなぁ」
その呟きは、誰の耳にも届かない。
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やっさん(プロフ) - にーさんのイメログの、人物夜及さん、だったのですね。それにしても、夜及さんの前に、あの、太宰治さんが手玉にとられるとは(苦笑)。ハッピーエンドで、よかったです。 (2020年4月27日 21時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - 月桂樹さん» 相方の代わりに私がお返事させていただきます。いい作品とのお言葉、ありがとうございます。それはCSSの関係でして、本当は後ろに背景が表示されます。読み込みの問題かと思われますので、ご了承ください。 (2019年2月7日 17時) (レス) id: 8aacdcc603 (このIDを非表示/違反報告)
月桂樹(プロフ) - いつも読まさせて頂いております!とても良い作品でお気に入り登録させて戴きました!少し何ですが、白が背景なのでどうしても説明文?が黄色なので見えづらいです…。長文失礼しましたm(_ _)m (2019年2月7日 11時) (レス) id: 5423a3a7ff (このIDを非表示/違反報告)
包帯運び屋の蛞蝓(さぶ) - 有難う御座います!全然更新できてなくて申し訳ないです・・・ (2018年8月29日 21時) (レス) id: 447c5e9774 (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - 包帯運び屋の蛞蝓さん» 大好きです。面白いです。更新頑張ってください! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 64e52e5a9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:包帯運び屋の蛞蝓とアイカ | 作者ホームページ:((o(^∇^)o))
作成日時:2018年7月20日 6時