【学スト】文学少女と栞と恋と【太宰治】

八話(MISSION '8) ページ32

『はぁ？事件？』




本のページを捲る手を止め、眉をひそめる夜乃。




『最近は目立った事も無くつまらない程平和だったじゃないか。何でまた急に。驚き桃の木くにっきーだぞ。』




夜乃の云う通り、本当に平和だったのだ。一番のニュースは学内に犬が入り込んで来た程度。その為部員の半数は暇を弄んでいた。


　

｢それが･･･校長直々の依頼なンですよ。ボクも最初に聞いたときは驚きました。｣




後其れ国木田先生に怒られますよ、とメモを見ながら谷崎が云った。




｢で？どんな事件なんだい？校長からの依頼なんて、余程の事がないと有り得ないだろう。此方の実績は知っている筈なのに、とんでもなく毛嫌いされているからねぇ私達。お蔭で部費も全然入らないし。｣




ソファーに横になり、場所を占領している太宰が片眉を器用に上げて問う。

　


探偵部は問題児の集まり。他人に然程の興味のない太宰でも知っていた位なのだから、生徒の殆どは認識済みだろう。




しかし其の一方で数々の難事件を解決し、外部の関係者等にも高く評価されている、と云うことも周知の事実だ。




だが規律正しいこの学校の校長が、問題児の集まっている部活等認める訳がない。廃部にしたいのは山々だが、周りからの評価が高い為消すに消せない、と云った様子だろう。





｢太宰さんもそう思います？ボクは何か裏が在るンじゃないかと･･･で、其の依頼の内容が･･･あれ？あ、一寸待ってください！｣





部室内の給湯所に小走りで向かい、何やらがさごそと鞄を漁る谷崎。少し経って、あったぁ･･･という安堵の声が聞こえた。

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