検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:23,589 hit

【三話】 ページ3

女生徒は腕を組み、
大人っぽく笑った。
恐らくは3年生、つまりは
太宰の一つ上である。

そのことを考慮し、太宰は
一応の事敬語を使った。


「噂の・・・とは?」


「え、君太宰君でしょう?


同い年の女子を50人切りしたとか。


猪口冷糖(チョコレヰト)がバレンタインデーに


机の上に山積みになってたとか。


靴箱はいつも恋文で溢れてるとか。」


そんな噂がたってたのか。
あながち間違いでもないが。
柄にもなく太宰は反論せず、黙って立っていた。
手にはまだ栞がある。


「私はね。友達が欲しいんだよ。」


そんな事を唐突に云われても困るだろうけど。
そう呟いて女生徒はまた笑った。

肌は白いのに、それに似合わない
運動部のような男っぽい口調。
そしてその口調に合わない制服の着崩し方。
着崩している割にはよく図書室に来ているようだ。

何もかもがちぐはぐで、イメージに合わない。
肌が白いのなら美術部などの文化部。
これに図書室通いは合っている。

しかしそうするとこの男のような口調と
着崩した制服が邪魔をする。

一体どう云う人間なのか、
見かけでは判断できそうにない。


「だから、私と友達になってくれないか。」


「は?」


太宰の口からかろうじて出たのはその一言だった。


「私はね。その本を読む人間で、かつ式が瞬時に解け、


暗号と気づきまたその手の本を見つける。


その条件に合った人間と友達になりたいと思ってね。


我ながら厄介だが、君と云う人間が来てくれたんだ。


今日ばかりは自分に乾杯しよう。」


少なからず彼女に興味が湧いていた太宰。
しかしこの女生徒の考えは間違っている。

自分は、あの最初の本を読もうとした訳ではない。
ただ単に気になっただけ。

つまり、彼女の友達たる人間にはなれないのだ。

会ったばかりだというのに、
太宰にはそれがたまらなく悔しかった。

どうしてかは、自分にも分からなかった。

【四話】→←【二話】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:文スト , 学スト , 太宰治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やっさん(プロフ) - にーさんのイメログの、人物夜及さん、だったのですね。それにしても、夜及さんの前に、あの、太宰治さんが手玉にとられるとは(苦笑)。ハッピーエンドで、よかったです。 (2020年4月27日 21時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - 月桂樹さん» 相方の代わりに私がお返事させていただきます。いい作品とのお言葉、ありがとうございます。それはCSSの関係でして、本当は後ろに背景が表示されます。読み込みの問題かと思われますので、ご了承ください。 (2019年2月7日 17時) (レス) id: 8aacdcc603 (このIDを非表示/違反報告)
月桂樹(プロフ) - いつも読まさせて頂いております!とても良い作品でお気に入り登録させて戴きました!少し何ですが、白が背景なのでどうしても説明文?が黄色なので見えづらいです…。長文失礼しましたm(_ _)m (2019年2月7日 11時) (レス) id: 5423a3a7ff (このIDを非表示/違反報告)
包帯運び屋の蛞蝓(さぶ) - 有難う御座います!全然更新できてなくて申し訳ないです・・・ (2018年8月29日 21時) (レス) id: 447c5e9774 (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - 包帯運び屋の蛞蝓さん» 大好きです。面白いです。更新頑張ってください! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 64e52e5a9f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:包帯運び屋の蛞蝓とアイカ | 作者ホームページ:((o(^∇^)o))  
作成日時:2018年7月20日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。