【学スト】文学少女と栞と恋と【太宰治】

【十八話】 ページ18

太宰は
夜乃が目をそらしたのをバッチリ見ていた。

簡単に云うとショックだった。


「嘘。」


それだけ呟き、視線を下に向ける。
立ち止まって数秒考えると、
くるりと方向転換して帰り道に向かう。

後ろの「太宰・・・？」と云う声には
聞こえないふりをして。


「私と話したくない・・・？


私と放課後まで付き合えないって・・・？」


まともに考えられもしないのに、
自分を抑えられずに頭は回転する。


「好きって・・・辛いんだね。」


知らなかったよ。
と、小さく呟いた。

人を好きになったことなんてなかったのに。
あの時、もしかしたら、と、
そう思ったのに。

彼女は、夜乃はそう思ってはいなかったのか。

どうして・・・どうして？

自分は相手に見返りを求めるのか？

その程度なのだろうか。

私に群がる女子たちのように、

私も見返りをを求める浅ましさがあるのだろうか。

でも、そんな事を思っても、

話したい。

目を見たい。

笑顔を、綺麗な声を、ずっと近くで見ていたい。

友達なんて、いつ崩れるかわからない。

だが恋人だろうが同じだ。

私はどうしたいんだ？




・




・




・




そうか、


簡単な事、か。


私は、彼女に見てほしい(愛してほしい)んだ。

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