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倒れている。
いたいけな青少年が、倒れている
これはいけない
そう考えついた彼女の行動は早かった
抱えていた小説を執事に手渡し、彼女を日差しから護っていた日傘の影から走り出ると、高いヒールをものともしない速さで彼に駆け寄った
『少年!どうしたんだい?!何処か具合でも悪いのか?!』
「………えっ?」
うつ伏せに倒れている少年を抱き起こし、腕にそれはそれは大切に抱いて、その顔を覗き込む
斜めに切りそろえられた前髪のわりには、好き放題に伸びた後ろ髪。色白な肌はお世辞にも健康的とは言えず、華奢な体躯からは生きる気力が見いだせない
しかし、彼女の腕に抱かれた当の本人は異様な光景を目にした人間の如く、その目を丸くしてボーゼンとしていた
目の前にいる人は、今自分が生きてきた中で1番の美人であり、そんな彼女に日傘を傾けて、こちらを心配そうに見つめる
「あ、え、あ、えっと、あの」
『可哀想に、こんなに窶れて……待っていなさい。今我々が君を然るべきサービス業店舗へ連れて往くからね』
「え?えっ?」
「
1度彼の話を聞きましょう」
彼女の大きな博愛主義が働いてしまったのか、暴走しかけた主を忠実なる執事の静止の一言が幸を成し、諭された彼女は段々と冷静さを取り戻した
『………すまないね、少年。どうも、私は少し慌ててしまっていたようだ』
「い、いえ、こちらこそ、紛らわしいことをしてしまって」
『いいのだよ、私ももっと早くに君の話を聞けばよかったのだ
ところで、君は何故このようなところでうつ伏せに?』
「え、っと……((ぐぅぅぅぅぅぅぅぅうぅ」
彼女も落ち着き、ようやく彼の話を聞く時となったが、それを阻む奇怪なる音
それは少年の腹から聞こえたもので
『………ふむ、これは早急な食事が必要だな
先程の詫びも兼ねて、君の好きなものをご馳走しよう』
「え、いいんですか?!」
『うむ。遠慮せず強請りなさい。
それで良いね、ベディヴィエール』
「
やはりここでも彼女の博愛主義は留まるところは知らないが、目の前の空腹男児は目を輝かせている
『それで、何が食べたい?』
「あの………出来れば………
茶漬けを食べたいです」
『…………………』
「…………………」
「…………………え?」
『……ふむ、すまないな少年。
茶漬けとはなんだ?』
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ニコニコマーク! - ふぅ…敦くん?ちょーっとそこの位置代わってもらえないかな?代わらなくてもいいから取り敢えず敦くん達が座っている席の近くの壁になりたい…今すぐ二次元に行きたい… (2022年12月6日 6時) (レス) @page43 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - すみません…今思ったんですけど、坂口安吾の異能力が『堕落論』だった気が… (2022年12月5日 17時) (レス) @page4 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - 攻め…?攻め⁉︎攻めと言いましたか作者様。マジでございますか?スゥーーーーーー、フゥーーーーーーーーーー、控えめに言って神ですか。神でしたね!そうでした!無理のない程度に頑張って下さいね! (2022年11月17日 16時) (レス) @page48 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - こんにちわ 好きです。 かっこよすぎません?????強い女性好きです。神に出会ってしまいました!!! 更新待っています が無理はしないように頑張ってください!!!!! 楽しみです! (2022年11月16日 18時) (レス) @page47 id: 7f6eba9c4e (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - スゥーーーーーーーー…好きです。なんですか、神ですか。神でしたね‼︎無理無理夢主様カッコいい…そして遂にポートマフィアに接触しそ〜!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!更新待ってます!頑張って下さい! (2022年11月16日 16時) (レス) @page47 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
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