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「薮くーん、そろそろ書けた?」
ピタリ、ときっちり閉められていたふすまから覗いた一本の光。
それのせいでふっと現実に戻された俺は、眩しい光に目を細めその奥にいる憎い憎いヤツを睨んだ。
「いや、怖いから。マジで。
……あ、原稿できた?
よかったよかった。閉じ込めた甲斐あったわ」
高木は資料の間を器用に歩いてずかずか入り込んで、
勝手に机の上のパソコンを覗き込んでいた。
……おれのスランプは閉じ込めたくらいじゃ直んねーよ。
そもそもひかると離そうとする方がおかしい。
一向に動こうとしない頭は、ひかるのことしか考えられなくて。
「……ねぇ、何これ。
これ、原稿じゃないよね?ん?薮くん?」
「んー」
「てか、勝手に俺と伊野尾くんの名前使わないで」
「いいじゃん。
もーひかるに会わせて!」
はあっ、たく……。
呆れたため息をひとつ吐いた高木。
「明後日にはぜーったい書き上げてよ?わかったね?じゃなきゃマジで光くんは戻さないからね」
冷たくそう放ったこっわーい俺の編集さん。
開かれたふすまから出ていったと思ったら、スマホを耳に当て(きっと伊野尾に)電話をはじめた。
ひかるはたぶん、伊野尾のところにいる。
俺が閉じ込められてるとき、いつも2人で会話を楽しんでるみたいだった。
「薮くん、光くんくるから。
俺帰るね。光くん充電したらちゃんと書いてね」
「……へーい」
「ったく。
ほんっと、こんな奴のどこがいいんだか」
ひとつ余計な愚痴を聞いてしまったが、
けっこうけっこう。
これからひかるに会えるんだから。
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名のない作者。(プロフ) - しぇるさん» とてもステキなお言葉をいただけて嬉しいです(*´-`)かわいく、かっこよく……。キラキラした日常を感じて頂けただけでわたしは嬉しいです!コメントありがとうございます(´∀`) (2018年10月5日 11時) (レス) id: c6d217d91b (このIDを非表示/違反報告)
名のない作者。(プロフ) - 無音さん» 今回は、普通の恋人同士にもありそうな小さな不安や幸せを描く。というテーマのもとで書いたので、心が温かくなったと聞いてとても嬉しいです(*´-`)こちらこそ、読了。コメント。ありがとうございました! (2018年10月5日 11時) (レス) id: c6d217d91b (このIDを非表示/違反報告)
しぇる(プロフ) - 完結おめでとうございます!作者様の表現から覗く二人の世界はどこまでも煌めいていて、薮くんはかっこいいし光くんは可愛いしでとても楽しく読ませていただきました!今後も素敵な作品お待ちしてます(*´∀`) (2018年10月2日 21時) (レス) id: cb0e933bb5 (このIDを非表示/違反報告)
無音(プロフ) - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます!ラストは心がぽっと温かくなりました…(*´-`) 楽しませていただきました、ありがとうございました! (2018年10月2日 20時) (レス) id: 182c624bb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんじま(プロフ) - 名のない作者。さん» 楽しみです!!私も作者様みたいな作品を描きたいのに駄作ばかりwww (2018年9月3日 22時) (レス) id: 9baa58e5fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名のない作者。 | 作成日時:2018年8月7日 14時