起きたら隣の席に影山飛雄が座ってるんだが [ 影山飛雄 ]

不必要/6 ページ6

.







「あ、りがとう…」





月島に真っ直ぐ見つめられたので反射的に逸らしてしまう





高校1年の時同じ保健委員でそれなりに絡みがある月島に彼女は居ないのか要らないのかと聞いたら「何かに熱中するに置いて彼女という存在は不要」だって言ってた。けど、「それを理解してくれる人なら不要だとは言いきれない」って付け足して言った




付け足された言葉はイマイチよく分からなかった、今でもあんまり分かってないけど私が飛雄との恋愛のスタート地点にも立てていないのは彼の言葉のせいでも、おかげでもある



元々天才セッターだとか何とか言われてたのは知ってたしその実力もバレーに対する愛情も彼を目で追えば全部伝わってきた





だからこそ高校に上がると余計に邪魔したくなかった、将来はプロを見据えてる様な人にたかが幼馴染みという関係の私が付き合ってくださいなんて烏滸がましい事言えるはずがない





握られたままの手を静かに離されるとようやく目を合わせれた






「月島に、私は必要？」




「…うん、まぁ」







反対側の校舎の廊下は少し騒がしい、窓をきっちりと閉めていても騒ぎ声が聞こえる。それに対してこちら側の廊下は私たちの声が響くくらい静かだった


朝なのに2年の時放課後に告白されたみたいな懐かしい感じがした





「…ごめん。やっぱり月島の気持ちには応えれないや」




「うん、知ってて言ったからいいよ謝らなくて」





再び歩き出すと「ありがとう」と廊下には響かないくらいの声量で言われたから「私もありがとう」と返した




そっか…月島まだ私の事好きだったんだ
卒業式みたいな感じ、告白された実感が全然湧かないし断る時も不思議と緊張はしなかった

友達だと割り切っていたら意識しないのかもしれない







「早くアイツと付き合ってよ、じゃないと僕も諦めきれないから」







.

またね/7→←卒業式/5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す