にっかり青江:闇ニ紛レ ページ26
____コツ、コツ。
靴の鳴る音がする。
後ろを振り返り見ても、闇ばかりが奥へと続いていた。深い深い闇に飲み込まれそうで怖くなる。
恐怖からか、走っているのにまるで地面を踏んでいる気がしない。その上体は浮遊感に包まれ、肝が冷えていくような感覚に襲われる。
(火の不始末がないか外に確認しにいくなら、誰かについてきてもらえば良かった……！)
後悔の念に押し潰されそうになりながらも、足は止められない。
後ろから迫りくる【何か】に捕まってはいけないと、私の本能が訴えていた。
数ヶ月前から、ずっと私の後ろを尾ける人物がいることに気付き始めた。
始めは誰かの悪戯かと思っていたが、そうではないらしかった。
毎日届く執拗な手紙が、只事ではないと語っていたのだ。
［君の微笑む顔は天女のようだね］
［居眠りはよくないよ。］
［今日だけで君は僕以外に42回も話しかけたんだよ、気が狂いそうだ］
［ああ、今すぐにでも君を閉じ籠めてずっと愛でていたい］
ずっと監視されている。そんな危機感を持つようになったのは最近の事で、それはもう遅すぎたのだと今になって気付かされた。
追いつかれてはいけない。捕まってはいけない。
もう少し、もう少しで本丸に……！
「捕まえた」
低く、ねっとりとして熱を帯びたその声が、耳元で響いた。肩を抱き締められ、物陰となっている壁に押し付けられる。
仄暗い視界の中に、頬を掠めたのは千歳色の長髪____彼は、にっかり青江だった。
「触れたくて堪らなかったんだ。君のその、壊れそうな表情にさ。あぁ……天にも昇る心地だよ」
『ひっ、やめ……触らないで……』
「止めるなんて出来ないよ。それとも君は、焦らした方がお好みかい？」
執念く、しきりに唇を指先でなぞる青江の瞳は熱を帯びていて、うっとりと此方を見つめている。
そして唇を重ねられれば、すぐに離れ、またくっついてくる。
言葉を発しようとすると、今度は舌を絡め取られ、代わりに発したこともないような声が吐息と共に漏れ出した。
体は密着して思うように動かない。それどころか足はガクガクと震えて腰が抜けていた。情けない。
こんな、命の危険すら感じている状況で何をしているんだ私。怖い、はやく、動け私
青江は、さも楽しそうに唇を三日月に歪めて私の腰を支えた。
「ふふ、遠くで観察するよりも____もっと近くで、観察する方がずっと君を知れる。
手始めに……どれだけ愛せば君が気絶するのか知りたいな。」
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みゆ - 亀甲さんお願いします！ (2018年7月15日 20時) (
レス) id: 866317dc4d (このIDを非表示/違反報告)
紅桜 - 初めまして！紅桜と申します！以後お見知りおきを！…それはさておき……皆のヤンデレ姿がもう最高でした！！！何回か昇天しそうでしたよw← それと、リクがあるのですが…源氏兄弟と亀甲さんをお願いしても宜しいですか？ (2017年10月20日 4時) (レス) id: 087b770101 (このIDを非表示/違反報告)
前田かよ(プロフ) - 由良ひよ子さん» 初めまして！ドキドキを提供できているようで、とても嬉しいです！前田くん可愛いのに男前で素敵ですよね〜〜、リクエスト承りました！ありがとうございます！ (2017年7月30日 2時) (レス) id: c21384857f (このIDを非表示/違反報告)
前田かよ(プロフ) - 椿さん» 大満足して頂けて本当によかったです…！数珠丸さんの美しさハンパないですよね！今後ともどうぞよろしくお願いいたします、リクエストありがとうございました！ (2017年7月30日 2時) (レス) id: c21384857f (このIDを非表示/違反報告)
由良ひよ子(プロフ) - はじめまして！更新されるたび、ドキドキしながら見てます！実は私も初鍛刀の前田くん推しでして……リクエストで、前田くんをお願いします…！お忙しい中すみません… (2017年7月29日 22時) (レス) id: f4a22c3ba0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：前田かよ | 作成日時：2017年3月24日 14時
