6話 ページ7
・
…あれ、痛くない?
『あっっぶねー!!』
目を開けると、そこには先程より近くにある地面。
お腹にまわる逞しい腕。
『なんでコケるかもなんて予感当たんだよ』
声がした方へ振り返る
「じんぺーくん!?」
『Aお前ほんっと危なっかしいな。』
「…ごめんなさい。って、じんぺーくん怪我してない!?」
『ふっ、してねーよ。』
安心からか体の力が抜ける。
『うおっ!?』
「ごめんじんぺーくん、安心したら力抜けちゃって…えへへ」
『えへへじゃねえ、もう離すから立て』
「あ、うん。その…ありがと。」
『ま、兄貴の役目だからな。』
「いつから私の兄貴になったの?」
『うるせー!だいたいわかれよ!!』
そう言うと耳を赤くして青団の方へ帰っていく。
もちろん私は置いてけぼり。
「ごめんて、怒んないで。ねえ!じんぺーくんっ!!」
なんて言って先を歩く彼の背中を追いかける。
・
“兄貴”だって。嬉しいはずなのに、なんか少しモヤモヤする。なんでかわかんないけど。
『…い…おい、A?』
「っあ、なに?」
『やっぱさっきので怪我したか?』
「?なんで?」
『ハギまで来たのに反応もしねえから』
「え、研二くん?」
ん、とじんぺーくんが指を指す先には研二くんが心配そうにこちらを見ている。
「あ」
『って、ほんとに気づいてなかったの?!研二くんショック〜』
「ご、ごめん!!ちょっと考え事してて!」
『へえ、考え事って?』
「ん?…どうしたら今日研二くんのとこに勝てるかな〜って!」
兄貴なんて言葉にモヤモヤしてるなんて言えなくて言い訳を必死に考える。
深掘りされたくなくて咄嗟に
「ほら早く戻ろ!!」
なんて言って2人の手を引っ張る。
・
『ほんとに昔から変わらないよね、嘘つく時の癖』
『ああ、口はすぼめるわ髪を耳にかけたがるわ。
なんであれ本人気づいてねえんだよ』
『そりゃあ俺たち以外に嘘つかないからだろ。
Aちゃんが何か言いたがらない時は、それを伝えると相手に嫌な思いをさせちゃうかも、って時。
じんペーちゃんだってわかってるでしょ?Aちゃんが変なとこで俺たちに気使うの。』
『まあな。
…いつんなったら俺たちに正直に話すんだろうな。』
『さあ?俺たちが死ぬ直前とかじゃない?』
『ふざけんなハギてめえ』
手を引く私の後ろでそんな会話してたなんて、私は知らない。
・
1549人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そば粉(プロフ) - ヨザクラさん» ありがとうございます!!これからもソワソワしていただけるように書いていきます!警察学校組登場まであと少しお待ちください! (2022年6月3日 8時) (レス) @page18 id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
ヨザクラ(プロフ) - とても面白いです!続きが気になってソワソワします!全員にフラグ立ってーーー!!!頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年6月2日 9時) (レス) @page14 id: f4c5d262a2 (このIDを非表示/違反報告)
そば粉(プロフ) - ひええそんなこと言ってくださる柑橘類様尊すぎませんか(?)ありがとうございます!!そのお言葉がモチベーションになります!!! (2022年5月31日 0時) (レス) id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
*柑橘類*@馬鹿同盟(プロフ) - えっ尊いですね(?) 応援します! (2022年5月29日 19時) (レス) @page6 id: dcab7e85b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そば粉 | 作成日時:2022年5月27日 11時