守りたい者はもう何処にも居ない。 ページ4
ガギンッ
再び鈍い音を放ち二つの剣は交わりあった。
どちらも室内で戦えるような剣ではなく、暴れるにしては狭い部屋の中で命がけの勝負をしていた。
もう
「ハァッ…ハァッ………しぶといやつだね…」
「………」
一人は無傷だが代わりに息が上がり、もう一人は傷だらけだが息は上がっておらずただただ冷たい目をして大和守安定を見ていた。
「何…その目。……むかつく…ッ！！」
そう言い、刀を振り上げる安定。
ふらりと檜扇は回避したが、また一つかすり傷がつく。
「………なぁ。」
その中ぽつりと檜扇が口を開いた。
「…何さ？」
その声を聞き逃さず、聞き返した。
「………俺さ、人と刀は違うって思ってた。」
「＿＿＿は？」
お前、何を言って、と言う安定の声を遮り、檜扇はそのまま話し続けた。
「…薄々感じていたんだ。……でも、お前を見て確信した。」
元々冷たい目を更に冷たくさせ、安定を睨んだ。
「お前らは人に似ているよ。……何で、守れなかったものをまだ守ろうとする。」
もう手遅れだろう？と言うと、安定は目を見開いて膝から崩れ落ち、刀をその手から落とした。
そして数秒そのまま固まって、見開いた目からは涙がぼろぼろとこぼれ落ちていた。
「……若様…ッ！！ごめん…なさ…ッ！！」
そう顔を両手で覆い、若様と言いながら泣く安定。
あの箱の中身はきっと子供の骨だ。
持った瞬間にわかったんだ。
あの瘴気が箱の中身の子供を愛する者の瘴気だということも。
…解ってしまったんだ。
俺は、そっと自身を鞘に収め、目をつぶった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 332人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
左側に注意(プロフ) - 瀬戸凛兎さん» 辛いですよね…ありがとうございます…！回復するまで今しばらくお待ちを…（・ω・｀＠）ｽﾐﾏｾﾝ (2017年12月14日 18時) (
レス) id: 1a25799cf4 (このIDを非表示/違反報告)
左側に注意(プロフ) - ねる＠空前絶後の低浮上さん» ありがとうございます…無理しない程度に頑張ります（・ω・｀＠） (2017年12月14日 18時) (レス) id: 1a25799cf4 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸凛兎(プロフ) - インフルエンザ辛いですよね…。私も含め読者はみんな復活するまで待ってますので、しっかり治してくださいね！これからも応援してます！ (2017年12月13日 20時) (レス) id: c4b48b7ec8 (このIDを非表示/違反報告)
ねる＠空前絶後の低浮上(プロフ) - 突然すみません。もうゆっくり休んでください、めっちゃゆっくり。インフルは拗らせちゃうと厄介ですよ！無理しないでください、応援しています！ (2017年12月13日 19時) (レス) id: 375dd4fcc8 (このIDを非表示/違反報告)
左側に注意(プロフ) - まぁさん» ありがたいお言葉有り難うございます！近々番外編も作る予定ですので宜しければそちらもご覧になってくれたら嬉しいです！！ 檜扇「よろしく…ね？」 (2017年11月19日 0時) (レス) id: b03f457fa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
