8章。そんなこんなで。 ページ8
それからは、無事に船に乗って、半日かけて他の国へ向かった。
ちなみに鵺は船などあまり乗ったことがないので、数十分でダウンしてしまった。
「うぅ…気持ちが悪い…」
顔を真っ青にし、口を手で押さえる。
「今日なんか波荒いし、しょうがないよ。」
眉を下げ、背中をさすってくれるフライア。
だが今はその優しさが辛い。すまんフライア。
「う”…うぅ…」
「あ、あったわ。ポリ袋。ほら、この中に吐いちゃいなさい。」
アキはさっと鵺の口元にポリ袋を近づける。
「あ、ありがと…おぅぇ…ッ」
「おーおー、すっきりするまで吐きな。」
アキもフライアも鵺を挟んで座る。
数十秒後
「うぅ”…吐き終わった…」
真っ青な顔でそう言う。
「よーしえらいよ。ほら、顔貸して。口元拭いたげる。」
ウェットティッシュで鵺の口元を拭くフライア。
アキはそれを頬杖をついてみる。
「ライ…あんたそういや、故郷に弟と妹居るんだっけ?今はどうしてるの?」
ふと、思い出したようにアキはフライアを見てそういう。
「んー…たまに元気にしてるよって手紙が来るよ。またうちに子供増えたんだって。」
こんどはこーんなちっちゃい5歳の子、とはにかみながら言う。
「あんたんち養子増やすわよねぇ…食費とかはどうなってんの?」
「いやぁ…うちさ、ずっと昔から占い師やってるんだ。だから、そのお金で全然平気。つーか金なくても街の人が、お礼ってたくさん林檎とか、南瓜とかくれるの」
「へぇ…繁栄してるのね。」
「そこそこかなぁ。」
そこで困惑したようにちょっと回復した鵺が声をかける。
「……すまん、今知ったんだが、二人の職業ってなんじゃ…?」
「僕はさっき言った通り、占い師だよ。タロットカード限定ね。」
「私はねぇ…職業というか……あれかな。烏天狗。」
ほら、と言うように、どこからか黒い翼を生やす。
「………なぁ。それあるなら船に乗らなくても良かったのではないか…?」
「二人も抱えて飛ぶのだるいし、飛ぶことすらだるい。動かしたくないわ。」
とってもめんどくさそうにそう言い放った。
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作者名:左側に注意 | 作成日時:2017年9月22日 23時