四、 ページ4
Taiga side
目を覚ますと、慎太郎が俺の顔を覗き込んでいた。
慎太郎「あ、起きた。よっぽど疲れてたんだねー、もう夕方だよ？」
大我「えっ…」
この部屋には窓も格子もないから分からなかった。
慎太郎「ごめんなーさっきは怖がらせちゃって。俺は森本慎太郎。えっと…？」
大我「京本大我」
慎太郎「そうだった。よろしくね、大我」
さっきは恐怖心に煽られて気づかなかったけど、笑顔と言い立ち振る舞いと言い、慎太郎にはどこかさわやかな印象を受けた。
それと同時に、気になることが一つ。
慎太郎「あ、やっぱり角が気になるんだ」
大我「いや角もなんだけど、目が…」
慎太郎「目？」
慎太郎の印象がさっきと今とで大きく違った理由。
俺が寝る前、慎太郎の目は北斗と同じく眼球が黒で瞳が白の、いかにも異形のモノという感じだった。
なのに、今の慎太郎の目は、人間とさして変わらない。
慎太郎「ああ、そゆこと。これはね、威嚇みたいなもんなのよ」
大我「威嚇？」
慎太郎「そう。何で目にこんな仕組みがあるのかは俺も知らないけど。
まあだから、いつでも切り替えられるよ」
そういって、文字通り目の色を変えてみせた。
大我「…さっきの方に戻してくれない？見慣れなくて怖い…」
慎太郎「っはは、だと思った。大丈夫、俺も北斗もいつもは普通にしてるよ」
そうなんだ。
じゃあ、北斗もさっきと印象が変わったりするのかな？
噂をすれば、北斗がやってきた。
彫りのはっきりした慎太郎とは対照的な、端正な顔立ちをしている。
さっきと比べると、若干儚げな印象。
北斗「大丈夫、京本？」
大我「うん、おかげさまで・・・あの、北斗」
北斗「ん？」
北斗や慎太郎が優しくしてくれたお陰でだいぶ落ち着いたけど、だからってこの状況に対する戸惑いが完全になくなった訳じゃない。
いずれ聞くなら早い方がいいはず。
大我「門のこととか、鬼と人間の関係とか、今のうちにちゃんと知っておきたい。だから、教えて」
北斗「ああ、確かに知ってて損はないかもね。さて、何から話したものか・・・」
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作成日時：2020年7月30日 22時
