真珠を溶かして (ページ26)

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二十六、ページ26

Taiga side

お腹、空いたな。

地下のこの部屋からは外の様子がひとつも分からない。

当然時間も分からないし、音も聞こえない。

でも俺の胃袋が、とうに昼飯を消化し始めてもいい頃だと唸っている。

北斗も慎太郎も来ない。

こんなこと初めてで、余計に不安に感じてしまう自分がいた。

絶対に"何か"はあったんだと思う。

でもその"何か"が、もし北斗や慎太郎に害をもたらすものだとしたら＿＿

ふたりは無事なの？？

そして俺は、、、

北斗「大我！」

暗く沈むような空気に、凛と響いた声。

駆け寄って来てくれた彼の有様をみて、俺は息を呑んだ。

大我「北斗、え、、何でそんな、」

北斗の身体は傷だらけで、足取りも覚束ない。
鉄格子の扉を開けようとしてよろけてしまい、咄嗟に支えた。

北斗「ありがとう。でも話は上でしよう？ごめんね、ずっとこんなとこに置き去りにして」

納戸の外に出ると屋敷の中は所々散らかっていて、破損のひどい玄関を片付けていた慎太郎も傷だらけだった。

その後遅い昼飯を食べながらふたりから話を聞いたけど、結局ほとんど喉を通らなかった。

・・・

Juri side

気絶した慎太郎を見張りながら怪我の痛みが引くのを待っていたとき、

ジェシーから奉行所に通報されたと聞いて、屋敷の裏側から急いで退散した。

こんな大胆なやり方、何度もできるわけじゃないから今日で決着をつけるつもりだったのに、結局あの人間を隠していた場所さえ見つけられなかったのが悔しくてたまらない。

途中で遭遇した岡っ引もなんとか巻いて、自分の屋敷へと戻る。

玄関の扉を閉めると廊下に一人の男が出てきて、俺らを見るなり目を丸くした。

？「うわっ、樹なにその怪我！？ジェシーも！どうしたの？」

樹「別に。ちょっとヤンチャしただけ」

？「いやいやちょっとって傷じゃないでしょ……氷嚢作ってくる」

樹「心配しすぎ。お前ら人間と違ってこの程度の傷なんざ寝りゃ治る」

ジェシー「そうだよ！俺らの心配はいいから…だから安静にしてなよ、

こーち」

俺らが引き留めると、そいつは振り返って困ったように笑った。

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