真珠を溶かして (ページ24)

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二十四、ページ24

Shintaro side

屋敷の二階で仕事をしていると、突然下から聞こえた破壊音。

何事だと廊下に飛び出した途端、真正面の窓が破壊された。

咄嗟に両腕を交差させて防御し、顔を上げると、右頬に衝撃が走り後ろに吹っ飛ばされた。

それが目の前でニタニタと笑う無法者に殴り飛ばされたからだと気付く頃には、俺の横を見知らぬ鬼達がすり抜けていった。

樹「俺はコイツを足止めしてる。さっさと探してこい」

手下「「了解」」

慎太郎「…っ！？待て、！」

追いかけようとするも、今度は脚を蹴られて立ち上がれない。

樹「こんなボロっちい窓修理しないでほっとくとか俺ら舐めてんの？ここから侵入されるかもなんて考えもしねえんだな」

鳩尾に向かって足が飛んでくる。なんとか手を振り回して払い、そのまま掴んで思い切り引っ張った。

樹がよろけて膝をつく。隙のできたその脇腹を精一杯の力で殴る。

もう一発打とうと拳を振るうも空を切り、無防備に晒した背中に激痛が走った。

慎「…っ！」

そのまま倒れこむ勢いを利用して樹に接近し、片腕を引っ掴んで関節と逆の方向に力を入れた。

大きく顔を歪ませる樹。俺の手を振り解くと同時に太腿に蹴りを入れ、距離を取った。

樹「…いってえな」

そう言って俺を睨む樹の眼は爛々と光っている。

迫力に気圧されそうになり、未だ背中と腿に響く痛みをなんとか堪えて笑みを張り付ける。

慎太郎「舐めてるのはそっちだろ。俺は北斗ほど良い子ちゃんで育ってないんでね」

樹「どうだか。こう何度も易々と外敵の侵入を許しちゃあ、お前んとこの人間も気が気じゃないだろうな」

他人事のように笑う樹。
思わずカッとなって勢いに任せて殴り飛ばした。

慎太郎「誰のせいだと思ってんだよ！！お前さえいなきゃ俺らは平和に暮らしてたんだ！！」

樹「は？そもそも松村家にいる時点で平和もなにもねえだろ」

樹の眼の鋭さが増した。
軽く埃を払って体を起こす。

慎太郎「…どういう意味だ」

樹「お前は所詮他所者だから知らねえだろうな。松村の連中がどんだけロクでもない奴等かってなあ！！」

そう怒鳴りながら拳を振り下ろす。
咄嗟に手で受けるも、さっきより遥かに重い一撃に耐え切れず床に体を打った。

樹「お前よりも、北斗よりも、俺は両家の歴史を知ってる。松村家が成功の裏で何をしてきたかもな。

だから来たんだ。こんな危険な場所に匿われてる可哀想な人間を助けに」

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