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二十一、 ページ21

Shintaro side



慎太郎『…何?北斗』



間違いなく俺の声は震えていた。



北斗『お前保管庫から薬持ち出しただろ』



静かな怒りのこもった声。



勢いで自白しそうになるのを何とか抑え、ぎこちない笑みを作る。



慎太郎『ごめん。何のこと?』



北斗『しらばっくれんな』



冷え切った目でそう言うと、俺の手を乱暴に掴んで奥へと歩き出した。



慎太郎『ちょ、北斗、痛いって』



俺の声なんてお構い無しで廊下を進んで行く。



そのまま保管庫の扉を開けて中に入る。



北斗『これとこの瓶の位置が入れ替わってた。…こっちの瓶は蓋の向きが決まってるのに微妙にズレてる。…これは匙の位置が違う』



俺が侵入した証拠を淡々と指摘する。



北斗『で、何で勝手に持ち出した?』



瓶をひと通り元に戻して俺に向き直り問い質す。



罪悪感に押し潰されてしまいそうだ。



鋭い視線に口を開きそうになり、慌てて両手で押さえた。



北斗『…言う気はない、と。だったらお前の部屋探すよ?』



持ち出した薬は全部ジェシーに渡したから、部屋には残っていない。



とりあえず頷くと、北斗は思いもよらないことを口にした。



北斗『部屋には無い、か。じゃあどこに隠してる』



慎太郎『…え』



北斗『お前の反応見りゃすぐ分かるっての』



恐ろしいことをサラッと口にして俺を睨む。





…もう、駄目かな。



叶わない。



北斗には全部お見通しなんだ。



心労で気が狂いそうだった俺は北斗の揺すりに呆気なく屈し、口を開いた。



慎太郎『…あげた』



北斗『…………は?』



慎太郎『…珍しい病気にかかって困ってるって言ってた鬼にあげた。効くかは分からないけど、それっぽいのをいくつか選んで…!!』



言い終える前に頬を思いっきり張り飛ばされた。



尻もちをついた俺の頭上には、さっきとは打って変わって怒りの形相をした北斗。



北斗『慎太郎、お前、、何てことしてくれたんだよ!!』



.

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作成日時:2020年7月30日 22時

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