真珠を溶かして (ページ17)

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十七、ページ17

Shintaro side

北斗は合理的だ。

俺とは違って感情に振り回されて動くことは滅多にないし、物事を冷静に考えられる。

でもあまりにもそれが過ぎて自分の気持ちを押し殺しちゃうのは、ちょっと悪いところ。

大我が危険だからとか、言ってることは正しいんだけど、もう少しわがままになっても良いと思うけどね。

そんな性格だからこそ、大我を守るとか言い出したときはめちゃくちゃ驚いた。

あの北斗が衝動に任せて動いてる！って。

でもなんか嬉しかった。

大我と一緒にいたら、北斗はもっと変われる気がする。

今日は下弦の月。

この月の夜にはあんまりいい思い出がない。

数日前、樹に言われた言葉を嫌でも思い出す。

『やっと信頼されたんだ』

嘲笑うような樹の表情は脳裏に焼き付いていて、じわじわと俺を苦しめた。

ある種の敵とも言えるくらいに対立してる北斗が仲間割れしてる様子は、お前からしたらさぞ愉快だっただろうな。

北斗にこっぴどく叱られた挙句信頼まで失って、いろんな感情がごちゃ混ぜになって大泣きしたあの夜の記憶は、

そうそう俺の頭から消えてくれない。

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