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セント・パンクラス駅 ページ9
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終点のセント・パンクラス駅に到着。
車内のざわつきで僕が目を覚ますと、
目の前の席は空っぽだった。
最後に挨拶くらいしたかったな。
なんとなく寂しさを感じながら
周りの乗客に続いて列車を降り、
地下鉄の入り口に向かって歩く。
入り口付近に券売機があるはずだけど、
と周囲を見渡す。
「あ」
見つけた。
と、なんとなく思った。
向かいの席にいたあの女性が、
券売機の目の前で立ち尽くしていた。
周りの人々は、
まだ買わないのかとでも言いたそうに
訝しげな顔で女性を見てから隣の券売機移動していた。
僕は思わず女性のそばに向かっていた。
「どうかしましたか？」
「あ、ミルクティーのおにいさんだ」
まさかそんな覚え方をされていたとは。
「おにいさん、切符の買い方知ってますか？」
なるほど、切符の買い方が分からなかったようだ。
彼女がみていた電光版を見ると
アジア圏の表記はあるが、
確かに分かりづらいかもしれない。
「初めてだと切符買うの難しいですよね。
どこ行くんですか？」
僕も初めてなのに。
彼女の前ではお兄さんぶりたくなる。
「コヴェントガーデンです。
クリスマスコンサートが素敵だって聞いたんです」
「それなら僕も同じなので一緒にいきましょう」
「嬉しい！
場所分からなかったので助かります」
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作者名：ちよこれいと
| 作成日時：2023年6月11日 22時
