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「全部入れて大丈夫ですか？」
「全部で大丈夫です！」
「あ、ミルクもありますけど」
「欲しいです！」
女性の近くにあった紅茶のカップを引き寄せる。
砂糖とミルクを入れて
デザートスプーンで軽く混ぜ、
できあがったミルクティーを女性の手元に置いた。
「どうぞ」
「なんだかすみません、ありがとうございます」
女性はカップを持つと鼻を近づけ、
香りを吸い込んだ。
微笑んで、
そっとカップに口付けて飲んだかと思うと、
ビクッと体をはねらせる。
「あちっ」
舌を出し、慌てて水を飲んだ。
「……猫舌なんです」
決まり悪そうに
視線を逸らした彼女が可笑しくて、
笑いを誤魔化すために空返事をして、
飲み掛けのコーヒーに口をつけた。
旅の出会いっていいな。
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・
その後。
甘いミルクティーを片手に
ケーキを食べ終えた女性は、
ヘッドフォンを付け直してから
パソコンに向かうと、
そのまま僕の方には気づかずに作業に没頭していた。
僕も元のようにイヤホンを付け直し、
列車の揺れに身を任せながら目を閉じた。
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作者名：ちよこれいと
| 作成日時：2023年6月11日 22時
