神様と過ごした或る日のこと【SVT/MH】 (ページ5)

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ヘッドフォンを外してページ5

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　ゆらゆらと動いていた頭が
ぴたりと止まったかと思うと、
ヘッドフォンを外してゆっくりとこちらを向いた。

　帽子で隠れていて気づかなかったが、メガネをしていた。
　やはり東洋風の、同じ二十代半ばくらいの女性だった。

「Bruyant?」

「なんて？」

　言葉が聞き取れなくて、中国語で返してしまう。

　おそらくフランス語かもしれなかったが、
僕はボンジュールくらいしかわからない。

　女性は「あ、中国の人か」と日本語で呟いた。

「うるさかったですか？」

　今度は流暢な中国語が聞こえてきて、僕はびっくりした。

　さきほど日本語でつぶやいていたから、
まさか中国語が話せるとは思っていなかった。

　びっくりしたまま動かない僕に気付いた女性は、小首をかしげる。

「中国人じゃないですか？」

　見た目中国か韓国のどちらかかと思ったんですけど。
　そう言いながら、今度は英語で聞いてきた。

　慌ててテーブルに並べられた料理を指差しながら、中国語で返す。

「ああ、いえ、中国人です。
　あの、ミールサービスに気付いてなかったので頼んでおきました」

「あ！気づかなかった。ありがとう」

　女性はニコッと笑った。

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