神様と過ごした或る日のこと【SVT/MH】 (ページ24)

今日:6 hit、昨日:54 hit、合計:29,680 hit

Have a good trip! ページ24

・

　その姿が街灯に照らされて、
初めて僕の目の前に立つ女性がとても美しいことに気がついた。

　陶器のような白い肌、
ウェーブのかかった黒髪が
はらりと目元に影を作り、
長いまつ毛の先が艶やかにライトに照らされる。

　アジア系の童顔らしい配置と色合いはよくあるもののはず。
　だけど、
彫りの深さやぷっくりとした唇は
精巧に作られた人形のようで、ゾクッとする。

　この顔を僕はどこかで見たことがあった。

　僕が彼女の顔を見つめていると、
Aは遠くからクラクションを鳴らす車に視線を向けて「あ」と声を漏らした。

「お迎えが来ちゃったみたい」

「あ、……もう？」

「これ、帽子のお礼にヘッドフォンをどうぞっ」

「ええっ」

　首にぶら下がっていた
赤いヘッドフォンを勢いよく渡してきたAに、僕は反射で受け取ってしまった。

　ポカンとした表情でヘッドフォンを見る僕に、Aはニコッと笑った。

「それじゃあ、良い旅を！」

・