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テムズ川のそばで ページ23
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人混みの中をかき分けて、
見知らぬ土地の中をがむしゃらに走り抜けて。
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すっかり空の色は青が抜けて黒一色。
川沿いのベンチで
街灯に照らされながら、
二人して倒れ込むようにだらりと座っていた。
「帽子、どっかいっちゃった」
寝癖隠していたのに、と
Aがボサボサの頭を手櫛で整えている。
列車の中でもずっと帽子を深く被っていたのはそう言うわけか。
僕は被っていた帽子をとって、
Aの頭に乗せた。
「これ使っていいよ」
軽い変装グッズと思って持ってきたけど。
どうせ、ここはロンドン。
韓国アイドルを追いかける人なんてほとんどいないだろう。
「もらってばかりでなんだか悪いことしてる気分」
「僕の方が素敵な曲を聞かせてもらったから」
「ほんと？ それは嬉しい」
Aはぴょこっと立ち上がると、ニッコリ笑った。
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作者名：ちよこれいと
| 作成日時：2023年6月11日 22時
