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とても楽しそうだった。
そうだ、あの場所には歓喜の音で満たされていた。
誰もが笑顔で、時には涙を流して、
僕たちの歌を聴きながら
温かい感情を持ってステージを見つめていた。
いつから、僕は上手に歌うことばかり気にしていたんだろう。
いつから、この光景を忘れていたんだろう。
いつも、ステージはこの光景で溢れていたはずなのに。
いつから、目を背けてきたんだろう。
いつも、みんな楽しそうに見てくれていたのに。
兵役が終わって戻ってきたとしても、
僕たちはもう歌えないかもしれない。
最後かもしれないから、最高のライブにしたい。
最高の歌を歌いたい。
歌いたいのに、歌えない。
くるしくて
くるしくて
くるしくて。
ぐるぐると渦巻いていた感情が、
鳴り響く音楽に合わせて解かれていったような気がした。
もう一度、ただみんなと歌いたい。
楽しそうなAの横で、
僕はぼんやりと光と音の渦の中に浸っていた。
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作者名：ちよこれいと
| 作成日時：2023年6月11日 22時
