クリスマスツリー ページ14
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Aとコヴェントガーデンのクリスマスマーケットを回るのは骨が折れた。
広場にある巨大なトナカイに
駆け寄ったかと思えば、
路上パフォーマンスのピエロをみたり。
天井に飾られた
ミラーボールを見上げていたかと思えば、
出店に並んだスノードームを逆さにして遊んでみたり。
目を離した隙に
あちこち駆け寄ったりお店に入っていくAを僕は追いかけた。
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そうして歩いている間に広場の前で、Aが足を止めた。
「わー…素敵」
Aのポロリと出た感想に、
僕は彼女の視線を追った。
目の前には巨大なクリスマスツリーが、どん、と飾られていた。
その存在感と迫力に僕は圧倒された。
しばらくぽかんと口を開けながら
衝撃に立ち尽くしていると、
近くの外国人と話していたAが駆け寄ってきた。
「五十五フィートもあるんですって」
「そんなに？」
「ロンドンで一番大きいクリスマスツリーで、
飾り付けに三〇〇時間もかかったみたい」
「三〇〇？ ってことは十日以上も？」
「正解、しかも六十人がかりで」
「本当に？」
「うん。シーズンが終わったら、
クリスマスツリーはウッドチップにして再利用するんだって」
「偉いね、ちゃんと後のことも考えてる。さすがヨーロッパ」
「この話教えてくれた
地元人のおじいちゃんにそう言ったら、
イギリスはヨーロッパじゃないって突っ込まれたけど」
「それも知らなかった」
「おじいちゃんは
明日孫に会いにヨーロッパに行くそうだよ」
「それはどこの国だろう」
「わかんない」
「フハッ」
肩をすくめてリアクションをするAに、僕は笑った。
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作者名：ちよこれいと
| 作成日時：2023年6月11日 22時
