＊第16話 ページ17
最初は、ただの興味だった。
自分や仲間達とは違う、異質な存在に気を引かれただけだった。それ以外の感情はなく、強いていえば彼女は末っ子気質のようで、ある程度の面倒なら見てやってもいいと思うくらいだった。
月日が経って、ほんの少しAに対する見方が変わった。
あの水浴びでの出来事もあり、少しだけ"子供"という認識を"女"に改めた。
とはいえ、俺が彼女に持つ感情に大した変化はなかった。他人に比べれば特別な存在と言えるが、それは他の仲間も変わらない。
それが全て覆されたのは、ある夜中のことだった。
ふと目が覚めたら、皆が眠る中にAの姿が無い。侵入者の気配もなかったため、自らどこかへ行ったのだろう。
探しに行った方がいいと判断して足を運び、その姿を見つけた。
今までのはなんだったのかと思うほどだった。心臓を刺されたような衝撃、激しい欲に身を焼かれる感覚を味わった。
Aは俺達に馴染んでいったが、俺達と同じ存在になることは決して無かった。
彼女だけが倫理観やら道徳観なんていうものを持ち合わせていて、本能に鈍く、欲に身を任せることをしなかった。
誰よりも理性的であったと言えるかもしれない。
そんな彼女が、邪魔なものを全て取り去って、本能のままに、欲のために、喰らっている。
理性なんてものはない。獣だった。
＿＿なんて美しいのだろうと、その姿に魅入った。
誰になんと言われようと、どれだけ歪だとしても、それは恋に落ちた瞬間だった。
「…A」
欲しくてたまらない。俺のものにしたい。
渇く喉に唾を飲み込む。名前を呼べば、彼女は目だけをこちらに向けた。ぺろりと口元の血を舐めとる舌に、ゾクゾクと体が興奮する。
暫く余韻に浸っているうちに、Aは瞬きを繰り返し、我を思い出したようだ。
俺と、自身が今組み敷いている肉も骨も露出した死体に目線を交互させる。
次第にその表情には怯えが深く滲んでいく。
その姿が愛おしくて仕方がない。
抱き締めて慰めてやるべきか？
"極度の空腹時に襲われたんだ、お前は悪くない"なんて声を掛けて。
"それはお前がやったんだ、美味かったか"と追い詰めてやるのもいい。
ああしかし、これは得策ではない。逃げられるような言動は避けたいところだ。彼女を手に入れなくてはならないのだから。
Aは血だらけになった口を開き、震えた声で小さく呟いた。自身がしたことを確かめるように。
『おなか、いっぱい』
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推しの命は私の命 - 番外編だけでも書いてくれ (3月2日 21時) (
レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
あいす - クロロがドロドロしていて凄い刺さりました,,😭めちゃ面白いです！！応援してます！！！！ (9月29日 13時) (レス) @page28 id: d200d8285a (このIDを非表示/違反報告)
ritsu(プロフ) - 次がすっごく楽しみです!!!頑張ってくださいね! (9月12日 23時) (レス) id: 09c2417c6f (このIDを非表示/違反報告)
みのる - 続きすごい楽しみです！！！待ってます！！！ (9月11日 23時) (レス) @page48 id: b8a09115f0 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！ (2023年5月3日 12時) (レス) @page48 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ x他1人 | 作成日時：2021年8月27日 15時
