黒い少女2

42＿醜い笑い ページ5

カキンカキン！シュッ！ドンッ


先程まで皆でいた食堂で金属のぶつかる音や攻撃が空振る音が絶え間なく響く。２対１ということもありこちらが優勢になってきている。

サラ「ふふっ、オビって言ったね。なかなかやるじゃん。この私が苦戦を強いられるのはかなり久しぶりだよ。楽しくなってきちゃった」

少しとはいえ押されている元施設長が笑いながら相手をしている。

オビ「女性に褒めて頂き光栄ですよ」

俺は当り障りのないこたえを返す。A嬢は何も話さず黙々と打ち続ける。

サラ「Aはそれ使っているのにあまり変わらないのね。少し残念だよ。まぁいいや、じゃあそろそろ本気で行くよ」

そう言うやいなやいきなり一撃一撃が強くなる。俺はもっと強い男とも何度も戦った事があるがA嬢には少し辛いようで防戦が多くなってきた。
しかし暫くすると、突然元施設長からの攻撃が止んだ。

サラ「・・・A、あんた本気を出してないね？」

そして元施設長の顔がだんだん見ていることが嫌になるくらいの醜い笑顔に変わっていく。

サラ「あんたまだそれを使いこなせてないんだろう？だから、その力のせいで相方まで殺してしまうかもしれないと思って本気がだせないんだろう？ふふ、ならあんたは私に勝てないよ！」

そう言ったと思った次の瞬間、ものすごい速さで俺の目の前まで迫り何かを俺の腕に差し込んだ。

オビ「くっ！なん・・だ・・これ！体が・・動かな・・・」

何かを差し込まれた瞬間、体が動かなくなりその場に倒れてしまった。

サラ「これであんた一人になったよ。こいつはもう動けないからね。つまり、本気を出せない今のあんたに勝ち目はな・・・ぐはっっ！」

相変わらずの醜い笑顔のままA嬢の方に振り向いたかと思えばこれまた突然真反対の壁まで一気に吹っ飛んでいった。そして元施設長が立っていた場所にはA嬢が立っていた。

オビ「A・・・嬢・・・」

A嬢は俺のほうに近寄ってくると俺の上半身を起こし頭を支えた。そしてポケットから出した何かを俺の口に入れた。

A『あと数分もしたら体がまた動くようになると思う。動くようになったらすぐに部屋から出て行って。邪魔だから』

こんな時にもそんな冷たい言葉を言うのかと思ったが、目を見て話さないA嬢の顔を見てそんなことすべて吹き飛んでしまった。

オビ「A嬢は・・本当にそんなこと・・思っているのかい・・？」








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