轟くん同居しています

13 ページ15

貴方side



坊っちゃんには伝えた


本当は顔を見て言わなくちゃいけなかったのに


顔を背けたまま


平静を装って言った


彼の返事もまともに聞かず部屋に戻った



(どうしよう)



今の自分に困惑した



(寂しがるのは坊っちゃんかと思ったけれど)



自分の頰に触れる



(1番寂しがってるのは俺じゃないか)



止めどなく溢れる液体が伝う



こんなにも一緒にいて


こんなにも大切に育ててきて


家族と言われるには


"血が繋がっている"こと以外


全て当てはまるのに



俺がもしも








・・・・・・
ただの善良なヒーローだったなら






こんな思いはしなかったのかな



今だけは





こんな風に生まれたことを後悔する



坊っちゃんはわかってくれるかな


あの子は昔から物分かりのいい子だからな


家事だって手伝ってくれた


無意識かもしれないけれど


俺のことを気遣ってくれてた


困難は2人で乗り越えてきた



"俺の大切な息子"



けれど、俺のじゃない



___________________返さなければ





俺が悲しい顔を見せれば



彼はきっと迷ってしまう



俺が彼の背中を押さなければ




こんな人間でごめんね



坊っちゃん、お父さん頑張るよ




だから


あともう少しの間だけでいいんだ


俺の家族でいてくれ


俺の息子でいてくれ

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す