24_離れない姿 ページ32
オビside
ゼン「ひどいな…」
施設に入った俺達が見たのは、顔を真っ白にしながら力なさそうに横たわるタルナの人々の姿だった。人によっては顔は真っ白なのに高い熱に魘されながら苦しむ者もいた。
?「お、お待ちしておりました。ゼン殿下、それと白雪様」
苦しむ人々を目の前に動けずにいた主とお嬢さんに頭を下げながら話しかける者がいた。A嬢はすかさずお嬢さんの少し前に出て警戒を強める。
ゼン「失礼。名前を聞いてもよろしいか?」
主が言うと、その者は慌てたように顔を上げる。
?「し、失礼しました!私、この施設の施設長を務めております、"サラ"と申します。この度、ゼン殿下方のお世話をさせて頂くことになりましたのでよろしくお願いします」
サラと言った施設長は一気にそう言うとまた頭を下げた。
ゼン「サラ殿、顔を上げてくれ。俺達にそこまで改める必要はないぞ」
白雪「そうです!ゼンにはまだわかりますけど私にまでそんな丁寧になる必要はありませんよ!」
お嬢さんと主の言葉で施設長はやっと頭を上げる。
サラ「お二人がそう言うのなら…。はっ!そう言えば後ろの方々も!確かキキ様、ミツヒデ様、オビ様ですね!お聞きしておりました。どうぞよろしくお願いします。…で、申し訳ないのですが、そちらのフードの方は…?」
施設長は遠慮がちに、そして申し訳なさそうにA嬢の方を見る。
ゼン「あぁ、伝えるのが遅くなってしまい申し訳ない。この者はタルナでの白雪の護衛をするAと言う者だ。怪しい者ではないので心配するな」
主が言うと、A嬢は軽く頭を下げる。主の言葉でようやく肩の力を抜いた施設長に比べ、A嬢は警戒を解く気配が一切ない。
(随分と気を張るねぇ)
そんな事を思っていると、主達は早速病気の原因を突き止めようと主は施設状況を、お嬢さんは病人の容態を見に散らばった。
キキ嬢と旦那は主に付き、A嬢はお嬢さんに付いた。どっちに付くものかと悩んでいると、
ゼン「お前は俺に付け。白雪の事はAに任せる」
とすれ違いざまに主に言われたのです主につくことになった。
ちらっとお嬢さんとA嬢の方を見る。A嬢はお嬢さんの後ろから見ているだけかと思っていたが、意外にも、お嬢さんと手分けして病人の容態を見ていた。
病室から出るとき、もう一度後ろを振り返ると、A嬢は病人の手をしっかりと握り何かを訴えていた。
俺はその後、A嬢の姿が頭から離れなかった。
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オビ大好き(プロフ) - ルイさん» 感想ありがとうございます!楽しんで頂けているのなら良かったです。戦闘シーン、これからも入れていくつもりなのでご期待下さい!更新は遅いかもしれませんが、頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします。 (2017年4月7日 18時) (レス) id: d4e0814f04 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - とっても面白いです!いや〜戦闘シーンがハラハラ&かっこいいです!これからも頑張ってください! (2017年4月7日 0時) (レス) id: 53cd8612df (このIDを非表示/違反報告)
オビ大好き(プロフ) - まりねえさん» 感想、応援本当にありがとうございます。楽しんで頂けているのなら良かったです!コメントを力に頑張っていきますので、これからもどうぞ楽しんで読んで頂けると嬉しいです。 (2017年3月24日 19時) (レス) id: fa9056f62c (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - とってもおもしろいです! 応援しています。頑張ってください! (2017年3月24日 16時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
オビ大好き(プロフ) - ハルさん» 確かに主人公は自分の事を考えずに行動する事が多いですね。ここだけの秘密、その原因は主人公の過去が関係するそうです。後々過去の秘密もわかってくると思いますので、どうぞこれからも続けて、楽しんで読んで頂けると嬉しいです。 (2017年3月22日 20時) (レス) id: fa9056f62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリオロ | 作成日時:2017年3月17日 13時