10.新しい関係 ページ33
ファミレスを出て、徹と共に私のマンションへの道を歩く。その間無言で、何かを話した方が良いとは思うが、切り口が見つからない。お互い無言のまま、マンションに到着してしまった。
着替えるから待って、と言ったのが徹と二人きりになって初めて発した言葉だった。徹を廊下で待たせ、廊下とリビングを隔てる扉を閉める。
煙草の匂いが染みついた服を脱ぎ、クローゼットを開けた。せっかくのデートだし、いつもの服装ではな、と迷う。暖かいとはいえ徹を廊下に待たせっぱなしなわけにもいかないため、長考はできない。ハンガーをかき分けて、服を探すと、奥に眠っていた服を見つけた。パキっとしたイエローのトレンチスカート。
元彼は女子アナが着るような清楚系の無地で淡い色を好んだため、別れた後にそういう色を多く身に着けるようになった。パステルカラーも好きだったため着るのは苦ではなく、それを身に纏う期間が長すぎて、本来の自分の好みを忘れていたが、本来の私の好みは派手めのビビッドカラーや柄物なのだ。
一目惚れして買ったはいいが、着る機会を逃し着ないまま眠っていた服。青を基調とした、薄暗い照明の水族館には、この色は映えそうでいいかもしれないと思った。
元彼の影は追わないと決めたから、本当に自分の好きを貫きたい気持ちもあった。白のフレアブラウスをインして鏡の前で一回転。久しぶりの派手柄は少し違和感で、似合っているのかの判別がつかない。徹に見てもらおうと徹を呼んだ。
「……どうかな、これ」
「すごい似合ってる。懐かしいな、Aのそういう服装」
「昔はよく着てたもんね。元彼の好みに合わせて変えてったけど、やっぱりこういう服が一番好きだな……徹はこういう服着た私がこれから先隣歩いてるのどう思う？」
「へっ？どうって」
「だって……もう！察してよ！ていうかもう流れでわかってるよね！？」
思い切って恥ずかしいことを言ってみたら、すっとぼけた反応をされて、腹が立つ。
「わかんないよ、わかんないから、口で言ってよ。ちゃんと」
先週自分からデートに誘った。今日元彼に会った理由は完全に元彼への気持ちを切るため、今帰ってきたのは徹とのデートの準備のため。そして今の言葉。それだけヒントを落とせば鋭い徹が私の気持ちに気付かないわけがないのだ。
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ぽん(元あお）(プロフ) - あべかわもちさん» もっちちゃんありがとう〜(*^◯^*)元々短編の予定が文章ばっかぎちぎちに詰まった感じになったので内容はパッパ進みました笑 こちらこそ、最初も最後もありがたい感想くれて特大感謝です！ (2019年6月9日 16時) (
レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
あべかわもち(プロフ) - 完結おめでとう！ 夢主ちゃんの心の機微が細かく描写されていて、とても読み応えがある作品だった！ 最後の方の展開が意外すぎて、思わず息を飲みました。最後まで物語の進行がスピード感満載で、重すぎず軽すぎず後味まで大好きです。素敵な作品をありがとう！ (2019年6月8日 18時) (レス) id: 9f7db0fc1d (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお）(プロフ) - オムオムレツレツさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月14日 19時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
オムオムレツレツ - 面白いです、、更新待ってます！ (2019年5月12日 22時) (レス) id: e2c913aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2019年5月6日 9時
