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「なんてさ、かっこいいこと言いたいけど、今必死にアタックしてようやくこっち向きはじめてくれたところなんだよ。ちょっかい出されたらすぐまたお前の方向いちゃうんじゃないかってくらい不安定。邪魔すんなバーカってのが本音なんだよね」
徹の目が元彼から私の方へ向く。いつも自信があって、余裕そうな表情が多い徹には珍しい、自信のなさそうな目。
「俺も情けなさじゃどっこいだけどね、首ったけに、なんて言ったけど自信なくて。待ってるなんてできなかった。来ちゃってごめん」
この人の心を乱すのも、こんな顔をさせるのも私だけなんだと、不謹慎だが喜んでしまった。
元彼の発言には驚いた。動揺もした。それでも、気持ち自体が揺らぐことは一切なかった。私の心を占めるのはもう一つしかないから。
「……確かに私、引きずってて、あなたが戻ってきてくれることを信じてた。でも、もうあなたの影は追わない。……今日はそれを言いに来たんだ」
帰らなきゃ、と言って席を立つ。元彼と徹が「え？」と口を揃える。
「煙草の匂い、落としてこなきゃ。これからデートなんだもん」
二、三歩歩いて元彼の名を呼ぶ。この名を口に出すのは久しぶりだった。
「いい男……かどうかは正直微妙だけど、そのまっすぐさがあればきっと幸せになれるよ。元気でね」
この前彼に会ったとき言われた言葉と似たようなことを言ってやった。
世間的に見たらあんまりいい男ではないかもしれない。それでも私にとっては幸せな気持ちにさせてくれるいい彼氏だった。その事実は変わらない。
引きずった三年間には後悔しているけど、付き合ったこと自体には後悔はしていない。綺麗な記憶も汚い記憶も混ざった中でなお彼が好きだった。私がこの先彼のことをどこまで覚えているかはわからない。だけど、綺麗な思い出の一つにはしたい。そのために、これ以上は関わらない。
ここでさようなら。大好きだった人。
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ぽん(元あお）(プロフ) - あべかわもちさん» もっちちゃんありがとう〜(*^◯^*)元々短編の予定が文章ばっかぎちぎちに詰まった感じになったので内容はパッパ進みました笑 こちらこそ、最初も最後もありがたい感想くれて特大感謝です！ (2019年6月9日 16時) (
レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
あべかわもち(プロフ) - 完結おめでとう！ 夢主ちゃんの心の機微が細かく描写されていて、とても読み応えがある作品だった！ 最後の方の展開が意外すぎて、思わず息を飲みました。最後まで物語の進行がスピード感満載で、重すぎず軽すぎず後味まで大好きです。素敵な作品をありがとう！ (2019年6月8日 18時) (レス) id: 9f7db0fc1d (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお）(プロフ) - オムオムレツレツさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月14日 19時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
オムオムレツレツ - 面白いです、、更新待ってます！ (2019年5月12日 22時) (レス) id: e2c913aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2019年5月6日 9時
