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「もし、もしだよ?徹のことが好きになったって私が言ったとして、三年引きずってた元彼がダメだったから好いてくれる徹に鞍替えしたみたいになるじゃん?それって嫌じゃないの?」
「別に?俺がいいって思って俺を選んでるんならぜーんぜん。まあ俺嫉妬深いから、元彼がいつまでもAの心に居座ってるとムカつくけどね。でもそれは元彼なんか忘れるくらい俺に首ったけにしちゃえばいいだけだし」
「すっごい自信……」
「だってAにとっては誰よりもいい男な自信しかないもん」
徹を利用しているだけのような気がして、そんなふわふわした自分が嫌だった。だからって、元彼を引きずったままなのが良い訳では決してないけども。でも、徹本人からそう言われれば、もっと自分の本当の気持ちに素直になっても良いのかもしれない。
店を出て、少しショッピングをして、徹に家まで送ってもらって早めの解散。今日はありがとう、とメッセージを送り、机の上にスマートフォンを置くと、端のほうに無造作に置いた煙草とライターが目に入った。
今までの癖で肌身離さず持っている。今日も、バッグの中に入れていた。だが、元彼と再会してしまったあの日からは吸っていない。
吸えなかった。
最初は、元彼がもう吸っていないものに縋る自分が気持ち悪くて、また、吸おうとするとどうしても元彼の顔が浮かんでしまうから。
カチリ、乾いた金属音を鳴らせば褪せたオレンジが揺れる。固いライターの着火レバーを押すのももうお手の物。煙草を一本取り出して、火を点けて。でも、一度も吸い口に口を付けることなく、灰皿にぐしゃぐしゃと押し付ける。
今、浮かんだのは徹の顔だった。私の心を占めるのはもうとっくに徹の方が大きくなっていて、それがどういうことなのかはもう、明らかだった。
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ぽん(元あお)(プロフ) - あべかわもちさん» もっちちゃんありがとう〜(*^◯^*)元々短編の予定が文章ばっかぎちぎちに詰まった感じになったので内容はパッパ進みました笑 こちらこそ、最初も最後もありがたい感想くれて特大感謝です! (2019年6月9日 16時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
あべかわもち(プロフ) - 完結おめでとう! 夢主ちゃんの心の機微が細かく描写されていて、とても読み応えがある作品だった! 最後の方の展開が意外すぎて、思わず息を飲みました。最後まで物語の進行がスピード感満載で、重すぎず軽すぎず後味まで大好きです。素敵な作品をありがとう! (2019年6月8日 18時) (レス) id: 9f7db0fc1d (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお)(プロフ) - オムオムレツレツさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年5月14日 19時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
オムオムレツレツ - 面白いです、、更新待ってます! (2019年5月12日 22時) (レス) id: e2c913aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽん | 作成日時:2019年5月6日 9時