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顔を上げるとセピア色の目をまんまるにして私を見る徹がいた。
ランニングウェアに身を包んでおり、今まで走りに行っていたことが一目でわかる。ビニール傘を持っているのは、先ほどの突然の雨にコンビニあたりで買ったからと予想できる。シンプルなグレーのウェアはおそらく既製品だが、徹のために繕われた物かと思うくらい着こなしていて、おしゃれで様になっていた。
再確認した徹のきれいさと恰好良さの一方で、私は涙と雨でメイクが流れてドロドロの顔、顔に張り付く髪、ビショビショの服……と濡れ鼠然としたあまりにも無様な姿。その差にようやく完全に正気を取り戻し、恥ずかしくなって立ち上がる。
「ごっ、ごめん！酔ってた！帰る！」
あまりにもへたくそな嘘を徹が信じるわけがない。だが、逃げたかった。
「待った待った！風邪引くでしょシャワー浴びてきなよ。……その顔、雨だけのせいじゃないんでしょ」
私の小走りの三歩は徹の余裕の一歩らしく、簡単に捕まる。
押しかけてしまった時点でとっくに迷惑なことは置いておき、迷惑かけたくない、徹に嫌われたくないとブンブン頭を振る。すると、「こんなので迷惑って感じるような人間だったらとっくの昔にお前のこと嫌いになってるから大丈夫」今更でしょ、と、徹らしい言い回しで宥めてきた。
＊
「シャワーと、あと乾燥機もありがとう」
下着類だけ先に乾かして、衣類を乾燥中は徹のトレーナーとハーフパンツを借りた。背中にはお洒落な英字で青葉城西と書かれているため、高校時代のジャージだとすぐにわかる。
「青城のジャージ着てみたかったんだ〜！おしゃれでかっこいいよね流石私立」
私も徹も宮城出身。当時は知り合いでもなんでもなかったし、高校バレー界では有名だったらしい徹のこともバレーと縁がなかった私は知らなかった。だけど、高校名なら知っている。特に青葉城西は私立高校で、受験で滑り止め候補として調べたことがあった。私の実家から青城までは遠く、しかも第一志望だった近所の県立高校に合格したため結局私が青城に通うことはなかったが、何の因果か青城出身の徹と知り合った。縁とは面白いものだな、と思う。
「そう？普通に普通の体育着だけど」
「私の高校あずき色の芋ジャーだもん。それに比べたら全然おしゃれだよ」
「ふーん、てか何でズボン押さえてんのダサいよ」
ハーフパンツを腰で抑え、ガニ股になってずり落ちるのを防ぐ私を見て徹がけらけらと笑う。
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ぽん(元あお）(プロフ) - あべかわもちさん» もっちちゃんありがとう〜(*^◯^*)元々短編の予定が文章ばっかぎちぎちに詰まった感じになったので内容はパッパ進みました笑 こちらこそ、最初も最後もありがたい感想くれて特大感謝です！ (2019年6月9日 16時) (
レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
あべかわもち(プロフ) - 完結おめでとう！ 夢主ちゃんの心の機微が細かく描写されていて、とても読み応えがある作品だった！ 最後の方の展開が意外すぎて、思わず息を飲みました。最後まで物語の進行がスピード感満載で、重すぎず軽すぎず後味まで大好きです。素敵な作品をありがとう！ (2019年6月8日 18時) (レス) id: 9f7db0fc1d (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお）(プロフ) - オムオムレツレツさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月14日 19時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
オムオムレツレツ - 面白いです、、更新待ってます！ (2019年5月12日 22時) (レス) id: e2c913aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2019年5月6日 9時
