cigarette Love.【SEVENTEEN】 (ページ31)

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16歳ページ31

風邪には薬。空腹にはご飯。
あなたには、私。
みたいに、辞書で「あなた」を探せば
「私」と定義されていると思ってた。

16歳の私は、アイドルの練習生だった。
どれだけ辛くても苦しくても、毎日必死に練習していた。

好きなことだから、努力とは感じなかった。
夢を現実にするために。

毎日楽しいことだけじゃなかったけど、
デビュー出来たら全てが報われると思っていた。

絶対に叶えたかったデビューが決まった3ヶ月前、

私は交通事故で、ダンスが出来ない体になった。

自暴自棄になって事務所も辞めた。
芸能学校に通ってる意味もなくなり、中退した。

その後はずっと何もせず、
ただぼうっとバイトをこなすだけの毎日だった。

あんなに輝いて明るかった毎日から、
私だけ異世界に飛ばされちゃったみたい。

暗くて、重くて、先の見えない毎日だった。

アイドルになれなきゃ生きてる意味がない。

いっそ生まれ変わって、またアイドルを目指そうかとまで考えもした。

そんな私を明るい日々に連れ出してくれたのが、イジュンさんだった。

私が、好きだった人。
今に至る、全てのきっかけになった人。