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エレベーターに乗って、それから少し歩いて、はしもっちゃんの部屋の前。
瑞稀くんがインターホンを押す。
少しすると、音を立ててドアが開いた。
出てきたのは勿論はしもっちゃん。でも、顔がやつれて頭はボサボサ、身体も最後に会った時よりも明らかに痩せ細っていた。鍛えていた筋肉もきっとすっかり落ちてしまっただろう。
それでもやっぱり俺たちの大事なメンバーだから、顔が見れたことが何よりも嬉しくて、5人揃ったことに酷く安心した。
俺たちの間に言葉はなかった。
無言で家に上がり、取り敢えずリビングに全員座った。
「ちゃんと食べてる?」
瑞稀くんが聞くと、はしもっちゃんが頷く。
「でもさ、家から出てないんでしょ?食料とかどうしてんの?」
作間からの質問で、やっと口を開いた。
「姉ちゃんが届けてくれてる」
ちゃんとしたはしもっちゃんの言葉を久しぶりに聞いた。今までこんなに辿々しい喋り方はしていなかった所に、心のダメージの大きさを感じる。
いや、厳密にはそれだけではない。
通されたリビングはカーテンが締め切られているし、部屋も暫く掃除されていない。服も散乱していて、ゴミや酒の缶もそこら辺に転がっている。
目に見えるものだけが真実とは限らないとは言うけど、これらは明らかにはしもっちゃんの心の内がもろ溢れ出ている。
そして俺らは部屋に入った瞬間に、あることに気がついた。極力言わないようにしようとしていたけど、ガリさんがそのことを口に出した。
「はしもっちゃんさ、…また煙草始めた?」
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icos(プロフ) - ほんとに大好きです( ; ; ) (4月16日 19時) (レス) @page14 id: 50ce4e0c5c (このIDを非表示/違反報告)
めろ(プロフ) - とっても好みの内容で大好きです。更新たのしみにしています! (2月9日 4時) (レス) @page12 id: 6471658642 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まかろん | 作成日時:2023年10月8日 1時