7.マジですか ページ9
「風見。ちょっと」
今日は潜入先の仕事がなく、
ポアロのバイトだけだったらしい降谷さんは、
警察庁に顔を出すより先に俺を呼び出した。
「何かありましたか」
「これの身辺調査を頼みたい」
咲本 A
走り書きされたメモには女性の名前が書かれていた。
「組織の重要人物か何かですか?」
「いや、ただの高校教師」
「はあ……はあ?」
真剣な表情で言うものだから、
どれだけ重要な人物かと思えば。
「とにかく、調べてほしい。特に職場を入念に。
ストーカー被害に遭ってるんだ」
「そんなの、他に当たれば良いじゃないですか」
こちらだって激務なのだ。
どうでもいいことなら出来るだけしたくないし、
これ以上仕事が増えるのは困る。
いくら降谷さんの頼みといえど、出来ないこともある。
「……もしかしたら、俺の嫁になるかもしれない」
降谷さんは、口元を抑えて目を逸らした。
その顔はほんのり赤く見える。
動揺を悟られないよう、静かにズレた眼鏡を直す。
思わず出た言葉は、使ったこともない若者言葉だった。
「……マジですか」
「割とマジ」
この公安という職業に就いていると、
結婚でさえ制限がある。相手の身辺調査だ。
加えて、仕事の話は出来ない。帰りが遅い。
命の危険もある。
故に、公安には既婚者が少ない。
それらを許せる心の広い女性と中々出会えないからだ。
もちろん、俺も例外じゃないが。
「他の方はどなたかご存知で?」
「いや、お前だけだ。Aも知らない」
「機密事項で進めるべきですか」
「そうだな。いずれちゃんと話す。
今は何も言わずに頼みを聞いてほしい」
「……分かりました。近日中に報告できるようにします」
「助かる」
コール音が響いた。降谷さんだ。
俺にチラリと視線投げかけてきた。
恐らく出てもいいかという確認だろう。静かに頷く。
Aという名前を口にしているから、
相手は噂のAさんらしい。
話が進むにつれ、降谷さんの端正な顔立ちに
似合わない眉間の皺が深くなっていく。
「……早急に片を付ける必要が出てきた。
さらに被害は深刻になっているそうだ。
あとは頼んだぞ、風見」
「はい」
そう言うと、ジャケットを羽織り直し、
急いで走り去ってしまった。多分、咲本さんの元だ。
降谷さんの原動力であろう咲本 A。
彼女は一体、どんな人物なんだろうか。
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ちゃむPOP(プロフ) - ナツみかんさん» 私も書いてても亀更新なので…笑 更新ありがとうございます! (2018年5月7日 18時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - ちゃむPOPさん» ありがとうございます……!! すみません、全然進んでなくて(o_o) それでも待っていただけるなんて……本当、涙しか出ないです。頑張らせていただきます!! (2018年5月6日 15時) (レス) id: 691cadf074 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむPOP(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き気になります…待ってます!! (2018年5月5日 10時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» ありがとうございます! まだ展開はぜんっぜん進んでない上、中々更新出来ていないのをお詫びします(~_~;) すみません! このような作品でも気に入っていただけて嬉しいです。ご期待に添えるよう頑張らせていただきます! (2018年3月23日 23時) (レス) id: 9c9f3cfc59 (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 「もしかし、俺の嫁になるかもしれない」ってセリフのところで、死にました。いつも更新有難うございます。陰ながら応援してます、これからも頑張ってください! (2018年3月22日 21時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツみかん x他1人 | 作成日時:2018年3月13日 11時