検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:95,474 hit

15.あんまん、半分こ ページ18

夜の公園のベンチは思っているよりも冷たい。
側に立っている電灯は、
不安気にちかちかと私達を照らした。

「まさか、こんなことになるとは」

「私もびっくりです」

「貴方が申し出たんですけどね」

「すみません。一人で食べたい気分でもなくて」

抑揚のない掛け合いをしながら、
もしゃもしゃとあんまんを頬張る。

私が提案したのは、一つのあんまんを半分にして、
二人で分けるという、なんとも幼稚なものだった。

それでも、私の気分に付き合ってくれた、
成人男性の彼はきっと良い人に違いない。

「何かあったんじゃないですか?」

「え?」

あんまんを食べ終えたらしい男性は、
お酒を仰ぐ私に、そう話しかけた。

「良ければお話、付き合いますよ。
あんまんを分けてくれたお礼として。
そうですね。様子からして、合コンや婚活の帰り、ではないでしょうか」

「ど、どうしてそれを」

「服装やメイクはきちんとしているのに、
髪は乱れて、さらには夜分にコンビニでやけ食い……
今夜の活動ははずれだったんですかね」

全て見抜かれ、途端に羞恥心が湧き上がる。
ほろ酔いの私から、アルコールが引いていくのを感じた。

「す、鋭いっすね。でも、はずれではなかったんです。
本当、当たりだったけど、全部、私のせい」

雲に隠れていた月が、顔を出し、また隠れる。
一瞬の月光の下、彼の糸目が開いた。

垣間見えた、彼の透き通る翠の目は、
私の脳裏に一人の人物をよぎらせた。

16.元気にしてるかな→←14.忘れられない人がいる



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
549人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃむPOP(プロフ) - ナツみかんさん» 私も書いてても亀更新なので…笑 更新ありがとうございます! (2018年5月7日 18時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - ちゃむPOPさん» ありがとうございます……!! すみません、全然進んでなくて(o_o) それでも待っていただけるなんて……本当、涙しか出ないです。頑張らせていただきます!! (2018年5月6日 15時) (レス) id: 691cadf074 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむPOP(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き気になります…待ってます!! (2018年5月5日 10時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» ありがとうございます! まだ展開はぜんっぜん進んでない上、中々更新出来ていないのをお詫びします(~_~;) すみません! このような作品でも気に入っていただけて嬉しいです。ご期待に添えるよう頑張らせていただきます! (2018年3月23日 23時) (レス) id: 9c9f3cfc59 (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 「もしかし、俺の嫁になるかもしれない」ってセリフのところで、死にました。いつも更新有難うございます。陰ながら応援してます、これからも頑張ってください! (2018年3月22日 21時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ナツみかん x他1人 | 作成日時:2018年3月13日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。