1.はじめまして、おじちゃん ページ3
「わあ……すごい。小さいね」
「勇利にそっくりでしょ?
とー君、貴方のおじさんだよ」
「なんか、おじさんなんて慣れないね。
はじめまして、とー君」
勇利が差し出した人差し指を、とー君が掴んだ。
それに勇利は、ますます顔を綻ばせた。
先日帰って来た勇利は、時差ボケな上に、
その時とー君も寝ていたため、
ちゃんとした面会は今日がはじめてだ。
「まだ二十三だもんね。
勇利おじちゃんって呼んでもらう?」
「それはちょっと嫌だな」
二人で見つめ合って、クスクスと笑う。
いつまでも勇利の人差し指を離さないとー君を見て、
「勇利のこと認めてくれたみたい」
「それは良かった。何歳だっけ、とー君」
「もう一ヶ月後には一歳。最近、散歩に出たら、
ベビーカーを嫌がって、歩きたがるんだよね。
もしかしたら、そろそろベビーカーも卒業かも」
「へぇ……子どもの成長は早いね」
「いつの間にか、スケートしてるかもしれないよ。
その時は、勇利がコーチしてね」
スケートの英才教育と名付けて、
勇利のスケートの映像をよく見せている。
不思議なことに、その映像を流している時だけ、
玩具を手放して、テレビに近づき、
大人しくしてるもんだから、笑ってしまう。
きっと、流れている血が、
スケートを求めているのだろう。
「視野に入れとくよ」
「暇な時でいいから、遊んであげてくれる?
とー君、男の人とはあまり遊んだことがないから」
「それはもちろん」
きゃはは、と笑ったとー君の笑い声を挟んで、
眉毛を下げて微笑を浮かべた。
「お疲れ様、勇利。おかえり」
勇利がスケートで思うような結果を残せなかったことを
知っての言葉だった。
勇利は涙を滲ませて、首を何度も縦に振った。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2019年9月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます!もう更新されないのでしょうか? (2018年12月29日 21時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)
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