本章 ９ ページ19
「侑士、でええよ。苗字で呼ばれるの慣れてないからなぁ。」
「あ、でも....」
男の人との関わりが最低限しかない私にとっては、
名前呼びは些かハードルが高い。
でも隣に立っている景吾はニヤリと笑い助けてくれそうになく、
このまま準レギュラーの選手とキャプテンを待たせるわけにもいかない。
何より、目の前に立つ彼のターコイズブルーの瞳に
心の中を見透かされているようで、
急いでこの場から離れたかった。
一歩、勇気を出してみる。
「じゃあ侑士君にするわ。これからも景吾をよろしくお願いします。」
早口で告げると、２人に背を向けて駆け出した。
後ろから景吾のものと思われる高らかな笑い声が聞こえてきたが、
もう振り返って一喝してやる気力はなかった。
あれ以上は無理だ。いや、私にしてはこれでもかというほど頑張った。
────────「侑士君」か......
今のご時世あまり見かけない丸眼鏡に、聞き馴染みのない関西弁。
喉の奥で含み笑いをするその仕草が頭から離れない。
鏡の中に存在する別次元の人物に急速に近付いてしまったようで
少し顔が熱くなる。
今は仕事に集中、と自分の頬にピシャリと一発食らわすと、
スポドリと制汗スプレーを携えて準レギュラーのコートへ急いだ。
「...跡部は呼び捨てで俺は君付けかいな。」
そんな侑士君の小さい小さい独り言は、誰の耳にも届かなかった。
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√ルート(プロフ) - 返信が遅れてしまい、申し訳ありません！！そんなに気に入って頂けるなんて、悩みながら書いた甲斐がありました...(笑)とても励みになります(≧▽≦) (2018年8月20日 2時) (
レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - このお話、大好きです！文才力すごいですね！ (2018年8月16日 3時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
√ルート(プロフ) - くしぇるさん» 処女作でそんなことを言って頂けるなんて感謝感激雨あられです！新作でお会いできたときには、応援して下さると嬉しいです！ (2018年4月28日 11時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
くしぇる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！ (2018年4月26日 21時) (レス) id: bc0907c9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：√ルート | 作成日時：2018年3月27日 23時
