検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:46,600 hit

本章 7 ページ17

景吾を見下ろせるほどの身長に、
澄み切った空に夜の艶やかさが加わったようなブラックブルーの髪色。


忘れるはずもなかった。



「忍足、その呼び方で呼ぶなって言ってんだろ。」

「えー、可愛いやろ。景ちゃん。」



目の前で化石と化している私の存在に気づいたらしい彼は、
景吾に向けていた視線を私へ動かした。

目が合う。視線が絡まる。



「もしかしてお取り込み中やったか?」



誰に投げかけた質問か解らず、
少し反応が遅れたが口を開こうとすると
先に景吾が返答した。



「練習の合間に少し話していただけだ。」



景吾が横目で私を見ていることに気づいて、
今度こそ口を開いて声を出した。



「どうも。一年の一之宮 香燐です。」



声は震えていなかっただろうか。



「ああ、よく跡部が話しよる幼馴染の子やな。
いつもクールぶって中々口を割らん跡部が
自分のこととなると一気に饒舌になりよるからなぁ。
どんな子か気になっとたけど、こんな綺麗なお嬢ちゃんとは知らんかったで。」

「おい忍足!余計なこと此奴に吹き込むんじゃねぇ。」

「まぁまぁ、そんな怒らんといてや。
俺は忍足 侑士。跡部とは仲良くさせて貰ってます。」

「だから余計なこと言うな!」

「ちょ...ラケットで叩くんやめい!痛いやろ!」



そんな2人のやり取りをネット越しに見ていると、思わず笑みが零れた。

言い合いを収めた2人は、
景吾は怪訝な顔で、忍足君は不思議そうに私に目を向ける。



「......んだ、香燐。」

「いや...景吾にも友達ができたんだなぁと思って。
ちょっと嬉しくなっちゃったわ。」

「はぁぁ?」



景吾がさらに眉を顰める。



「だって景吾、素直じゃないでしょう。
変に空回って友達できないかもって心配してたのよ?」

「そんなのお前が気にすることじゃねぇだろ!」

「でも、これからチームメイトとしてやっていくなら
仲のいい同級生のひとりぐらい作っておかなきゃ。」

「一貫して余計なお世話だ。」

「ほら、やっぱりそうやって素直にならないじゃない。」



拗ねて背を向けてしまった景吾に、また笑ってしまう。

今や同級生はおろか、上級生からも注目の的である跡部 景吾の本性は、
ただの不器用な少年だったりするのだ。

本章 8→←本章 6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

√ルート(プロフ) - 返信が遅れてしまい、申し訳ありません!!そんなに気に入って頂けるなんて、悩みながら書いた甲斐がありました...(笑)とても励みになります(≧▽≦) (2018年8月20日 2時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - このお話、大好きです!文才力すごいですね! (2018年8月16日 3時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
√ルート(プロフ) - くしぇるさん» 処女作でそんなことを言って頂けるなんて感謝感激雨あられです!新作でお会いできたときには、応援して下さると嬉しいです! (2018年4月28日 11時) (レス) id: 46231e2a59 (このIDを非表示/違反報告)
くしぇる(プロフ) - めっちゃ面白かったです!! (2018年4月26日 21時) (レス) id: bc0907c9ab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:√ルート | 作成日時:2018年3月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。