-第三章-破れる仲に死の森アリ。(後編) ページ7
「どうして、私のお父さんが…?」
此処は深い夜の森に1件だけ建っている小さな家。夕霧はこんな森の家に住んでいるはずも
無かった。しかし父はまるで、この家に住んでいるようにこんな事を言いいだす。
「美玲…心配したんだぞ!いつまで外にいるんだ!早く帰れと言っただろ!」
小さな家に響き渡る、父の大きな怒鳴り声。そして__
ドカッ!
ついさっき感じた痛み、それより重い音。父は夕霧を殴っていた。
「イッ!?父さ…ッ!」
殴られた頬を手で抑え、涙目なる。だがこれはいつもの父なのだ。夕霧の父はとても心配症で
最近家に帰るのが遅い夕霧を見ては、虐待をする。そんな父が彼女は嫌いだった。
しかし、これでは父親の方が悪い事をしたということになる。何故なら彼女は
オフザケの犠牲者で、先を読むことが出来ない。勿論こうなることさえ知らないからだ。
「どうしてよ!何で男の人はそう、むやみに私を傷つけるの!?父さんのバカ!!」
破れた仲は、深い傷で広がっている。夕霧は破れかけていた紙を勢いよく引き裂くように
言葉を吐き捨て、家を出ていった。
その時、夕霧の耳に付けていた"貝殻のイヤリング" はキラリと光った。
走る、走る、もっと走る。どこまででもいい、私を傷つけない人に会いたい。
嗚呼。頬が痛む2回分の痛み。それを無かったように包んでくれる人は…
…ドスドスドス!!
何か…来た?喜びと不安を抱きながら、夕霧は後ろをゆっくり振り返った。
其処にいたのは、茶色い毛皮のフワフワな熊。何故か涙が出る。私は食べられてしまうんだ。と
ぎゅっと目を瞑って、ガタガタと震える。しかし熊は、大きな手を私の頭に乗せた。
あれ?
何故か優しく感じる手、本当に良かった。キラリと光るイヤリング。
冬人なんて大嫌い。 次に死んでしまえばいい。お父さんも、もう大嫌い。
「クマさんありがとう。私の痛み、無かったことにしてくれるんだね」
最低な2人の怖さを全て消し去ってしまって。
?
血が流れてる。誰の血?私の瞼、どうして重いの?どうしてさっきより痛いの?
いしき、うすれてく、おとうさん、しんぱいかけて、ごめんなさ
トントントン。父のいる小さな家にノックの音。父はそれに気がついて、ガチャリとドアを開けた。
真っ赤に染まったイヤリングだけが、父の目の前にあった。
名曲、森のくまさんEND
-第三章-破れる中に死の森アリ。[結]
第四章に、つづく…
-第四章-八箇所分分、トンデさす。(前編)→←-第三章-破れる仲に死の森アリ。(前編)
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雫ツララ(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» そんな本があるんですね!初ホラーなのですがそう思ってもらえて主は感謝感激です! (2016年3月19日 13時) (レス) id: 6e8592f64d (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - エドワード・ゴーリーっていう絵本を作ってる人がいるのですが、ギャシュリークラムのちびっこたちを彷彿とさせました。子供の死を描くホラーってツボる所がありますよね。 (2015年12月24日 13時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
雫ツララ(プロフ) - オレンヂさん» オレンヂ見てくれてありがとう!頑張りまーす! (2015年7月31日 1時) (レス) id: 6e8592f64d (このIDを非表示/違反報告)
オレンヂ - 今回も凄く面白かったし怖かったよ!次の更新頑張ってね! (2015年7月30日 23時) (レス) id: 6100ff826b (このIDを非表示/違反報告)
雫ツララ(プロフ) - かすたーどましゅまんろんさん» 観覧ありがとうございます!電気羊というのはよく分かりませんが、一応パロ題です!更新頑張りますね! (2015年7月30日 2時) (レス) id: 6e8592f64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫ツララ | 作成日時:2015年7月18日 20時