【wrwrd!】【MSSP】元一般人と軍人と傭兵 (ページ49)

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西の警備状況の報告を兼ねて、城の裏手から場内に入る。
敬礼をしてくる警備兵に手で答えながら、目的地の扉をノックする。

「入れ」

低く威厳のある声で王が言った。
失礼します。と室内に入って鍵をかける。
王と自分しかいない部屋でふう、どちらも息を吐く。

「お疲れ様です。なかなかの演説でしたね」
「そう思うなら変わってくれるか？」
「お断りいたします」
「あと、その敬語は止めてくれ。正直、似合わん」
「ちょ、失礼だろそれ」

くつくつと笑うと、王は疲れたように笑った。
この大事な建国記念日に執務に追われる彼の王はお疲れのようだ。
それなら、と要件を早く済ませてしまおう。

「お疲れの王様に報告しますよ。東西南北の警備兵が何人か捕獲した。
　多分偵察、建国記念日ということもあるけど、最近大幅に増えたのは間違いなく、」
「…我々国との同盟か」
「十中八九、そうでしょうな」

やはりか…。そういって椅子に深く座り直して王は目を閉じた。
我々国との同盟は双方に利益があるものの、戦争を好み、最高戦力を誇る国、穏やかに過ごすことを第一にするこの国の対照的な二つの国に同盟は各国に衝撃を与えたようだ。
ひっきりなしに来る他国の偵察がちょと、いや、かなり、うざったい。
この状況下で、私の次の依頼が問題なのだ。

王は目を開き、申し訳なさそうにされてしまった。

「…この状況下では致し方ない、か…」
「そうですね……来賓のオスマン外交官が我々国に無事に帰国するまでの護衛の依頼。
　あちらのご指名なら尚更ですからね」
「……すまないな」

年の離れた友人はそう言った。
別にあんたのせいじゃないだろう？そう言って笑う。彼の王は、ふっ。と笑った。

一礼をして、王の間から出た自分は目的の場所に向かう。

元一般人、再び我々国へ行きます。