【wrwrd!】【MSSP】元一般人と軍人と傭兵 (ページ5)

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カランカラン、と扉についていたベルが鳴る。
店の中に入ると、焼き菓子のいい匂いが広がっていた。こじんまりした感じだが、目に入る菓子はどれも美味しそうだ。
私の好みで買って来て良いと言われたから余計に迷う。とりあえず日持ちするやつにするか…。

「すみません、この焼き菓子の詰め合わせを３つください」
「はいはい。プレゼント用ですか？」
「１つは後で食べるので、２つは包んでもらいたいです」
「かしこまりました」

人の好さそうなお婆ちゃんは、可愛らしい袋に菓子とおまけのクッキーを入れてくれた。
おまけだよ、と笑った顔に心が和んだ。
お婆ちゃんに代金を渡している時、後ろからベルの音が聞こえた。
別の客が来たことを知らせる音と一緒に、なんともいえないと違和感を感じた。

あ、まずい。

そう思った時は何もかもが遅く、何かに巻き込まれる予兆だと自分は知っている。

「あらあら…！オスマン様、今日は何をお求めになりますか？」
「んー、今日は俺の好みでいいって言われてるからねー」

ショーケースを覗いてるであろう人物の声が隣から聞こえる。
店主のお婆ちゃんと仲良く話す、オスマンと言われたあの、そう、あのオスマンがいる。
視線を絶対に横に移してはいけない。私は空気。よし行こう。
足を扉に向け、歩き出した、とその瞬間、隣から、それ何が入ってるの？と声が聞こえた。
思わず目を向けると、深い緑を中心とした軍服に身を包み、綺麗な茶色いアシンメトリーの髪した人物と目があってしまた。ファンです、サインください。

「…………焼き菓子の詰め合わせです」
「なら俺も同じのもらうね」
「かしこまりました」

なんでやねん。
お婆ちゃんはニコニコしながら焼き菓子を包んでいく。
目の前の男は綺麗に包まれていく様子を見ながら、こちらを時折見てくる。
店を出るタイミングを完全に見失った私はただ、包まれていく菓子が終わり次第絶対に出てやると決意を固めた。

はずだった。
城に続く道をオスマンと並んで歩いている。解せぬ。