【d!】新人詐欺師は私の心も騙してる？【ci】 (ページ13)

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11個目の嘘。ページ13

sideA

注文した品が届く。
私のコーヒー、バームクーヘン。
そして千里のコーヒー、ドリア。
コーヒー飲めたのか...
冷めないうちに、とドリアに手を伸ばす彼。
スプーンが1口掬い上げる。
チーズが伸びて...美味しそう...

チーノ「ふはっw何？食べたいん？w」

しまった...美味しそうすぎて完全に顔に出ていた...
ここはお強請りして、1口だけでも貰おう...

『う、うん...1口だけでいいから、あーん！』

チーノ「あげる。うん全部あげる。」

お強請り効きすぎた説...？
まぁいいか...貰えるならなんでも！
さっきスプーンに乗っていたドリアを冷まして
自分で食べる。
くれない...まぁ多分、次くれるんだろう...
いや待て？今1口食べたな？
てことは...
そう考えている間に適度に冷めたドリアを乗せたスプーンが。
食べたいけど...恥ずかしいし...

チーノ「どしたん？wもしかして、間接キスとか考えてるん？w」

『意地悪ぅ...わかってたでしょ...』

チーノ「うんwでももうキスもしたんやし、これくらい平気やろ？w」

『なわけないでしょ...』

結局ドリアはおあずけだ...
バームクーヘンを1口食べて、氷の入ったコーヒーを飲む。
やはりバームクーヘンとコーヒーの組み合わせは外れない。
ドリアを食べ終わった彼は、コーヒーを1口啜っていた。
あぁ...なるほど...
こういう子ほどコーヒーが良く似合うんだ...

あぁ...そうだったなぁ...
懐かしい...
またあのドリア食べたいなぁ...
ふと...チーノさんを見れば、焦ったように私を見ている。
そんな様子も愛おしいが、私はなにかしてしまったのか...？
頬に少し暖かい筋が通っているのに気づいた。
あれ...？なんで...涙なんか...
あ、そっか...まだ...好きなんだ...
彼の手が私の涙を払う。
苦しそうに私を見る彼に...甘えたくなってしまう...
壁に寄りかかったままの私をゆっくりと寝かせるために
そばに寄ってきた彼の体に抱きついた。
ずっと...求めていたのは...私も同じだったのか...？
彼が戸惑っているがそんなのはどうでもいい。
離れたく...ない...
意識が薄れていく。
眠気に襲われ、だんだんと力が抜けていく。
最後に残っている感触は、額に当たった彼の唇だった。