蜂蜜の愛の海に溺れています。【中原中也】 短編集

後編 ページ32

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　中也side




　『ちゅ‥‥‥‥‥は‥‥‥‥ま‥‥‥‥やめ』

　と云った処で、俺は動きを止め、口を離す。





　止めたと同時に呻きにも近い物足りなかった様な声を出して、

　はっとしたように口元を隠したA。






　「止めて欲しかったんだろ？」

　途端に顔を真っ赤にした。




　知ってるンだけどな。Aの止めては止めてじゃない事。

　体を起こして、ソファに座り直す。




　少し意地悪してみるか。







　Aもゆっくりと体を起こして、俺の横に座る。


　「にしても、何でそんな服着てんだ？」




　もごもごと口籠った後、足の間に両手を入れて俯き蚊の様に小さい声で云った。

　『た、‥‥偶には‥‥‥中也に甘えて欲しいなぁ‥‥‥‥なんちゃって。』




　‥‥‥‥‥‥‥意地悪何て出来る余裕なくなり始めたぞ‥‥‥




　『とか云い乍ら何時も甘えさせて貰ってばっかりなんだけど。』




　身長の関係で自然と上目遣いになるAの顔は、

　少し火照って居て色っぽい。





　「床か此処か寝台か。其れだけ選ばせてやる。」

　切れかけている理性を如何にか保つ。





　『そ‥‥‥其れだけっ！？』

　「急げ。切れる。」




　待って待って待って！？！？

　何て云って居るAを他所に細くなり脆くなる俺の理性。





　プチッ ))




　「此処で良いんだな。」

　『寝台が良いですお願いします。』



　早口に云うAの顔が堪んねェ。

　抱き上げると首にしがみ付く。








　寝室に連れて行って、静かに降ろす。

　その上に跨って胸に触れる。




　『んっ‥‥‥‥‥‥‥』

　「甘えさせてくれんだろ？声我慢すんな。」

　『で、も、‥‥‥‥』




　肩に掛かっている部分を下に降ろすと半裸になったA。


　『み‥‥‥‥見ないで。』




　両手で隠したって、

　「もう何回も見てんだろ？」

　剝がして自分の手を持って行く。




　『‥‥‥‥‥‥‥よ。』

　「ン？」

　『中也も脱いで。』




　そんな事か。

　と、服に手を掛けた処で一つ思い出した。





　【 甘えて欲しいなぁ‥‥‥‥なんちゃって】




　Aの手を掴み、自分のシャツに持って行く。


　「Aが脱がせて呉れよ。なァ？」







　おずおずと赤面しながらも俺の服を脱がせていくAが其れ又可愛くて。←

　俺の服が全部Aの手で脱がされていた時には、

　Aは一糸纏わぬ姿になって居た。




　【 ンじゃ、本番行くか。 】




　その後の時間は蜂蜜の様に甘く濃密。

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