轟vs緑谷 ページ45
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勝己の責めるような強い口調にAは思わずたじろいた。
『あー、まあそうだったんだけど…作戦変更、かな。色々、あって』
しどろもどろにAが言う。
嘘であることは明らかだったが、それ以上追求することもそれはそれで癪だったので仕方なく勝己は黙り込んだ。
勝己が嫉妬心を抱いているのも露知らず、Aは勝己が何を考えているのかさっぱりわからなかった。
強いて言うなら、対焦凍戦に備え焦凍の情報を集めておきたいのかと思ったくらいである。
『あ！出久と焦凍くん！』
フィールドに姿を現した出久と焦凍の姿に、A組の生徒の間にわずかにではあるが緊張感が走った。
開会式前には、例のクラス控室での焦凍の宣戦布告をクラス全員が目撃している。
両者がついに一対一で勝負する時が来たのだ。
声に出して言うわけではないが、クラスメイト二人による直接対決を固唾を呑んで見守る空気が出来上がりつつあった。
開始瞬間とともに両者はモーションに入った。
焦凍は氷を、出久はスマッシュを。
瞬く間に激突した二人の個性に、スタジアムが大きく揺れる。
スマッシュにより氷が打ち砕かれた衝撃波が冷気となって観客席を包み込んだ。
一回戦で氷漬けになった時の寒さと痛みを思い出し、Aは思わずぶるりと震え、無意識のうちに隣の勝己にすり寄った。
焦凍の氷結に、出久が自損覚悟の打ち消しで応ずる流れが続いた。
(やっぱり――)
届かなかったか、とAは静かに思った。
焦凍が炎を使うような様子は見れない。
そう簡単に届く心ではないと思ったが、渾身の想いに応えてもらえないというのは何とも切ないものである。
「圧倒的に攻め続けた轟！とどめの氷結を――…」
右手の指全部と左腕がスマッシュにより使えなくなった出久へ、焦凍の氷結が容赦無く向かっていく。
だらりと力なく垂れ下がった出久の左腕を直視できず、Aは思わず目を逸らせた。
「どこ見てるんだ…？」
「！」
鋭い轟音が響き渡った。
ハッとしてAは顔を上げる。
焦凍もAも、影で見守っていたオールマイトまでもが驚きの表情を隠せなかった。
すでに出久の両手はスマッシュを打てるものではなくなっている。
(壊れた、指で…！)
スマッシュから上体を起こした出久の目を見て、Aは思わずゾッとした。
執念なのか。どちらにせよ、もう正気ではない。
壊れた指を強引に握り固めると、出久は叫んだ。
「全力でかかって来い！！」
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
